矯正治療中に妊娠がわかった。
そんな時は、嬉しい気持ちと矯正治療はどうしようという不安の両方をお持ちではないでしょうか。
確かに赤ちゃんを産む時は、できるだけ心身ともにストレスを感じないよう母体となる自分の身体に対しては何もせず、安静にしておくのが一番です。
そうなると、何年もかけてやっと綺麗になってきた矯正治療はやめなくていけないのでしょうか。
結論として、治療を継続することはできます。
矯正治療中に妊娠がわかるというケースは少なくありません。
皆様、様々な状況をかかえていらっしゃいます。例えば一生に一度の結婚式に向けて歯を綺麗にしたい気持ちも、元気で健康的な赤ちゃんを産みたい気持ちも、どちらも本当に大切な気持ちです。
単純に「妊娠したら治療すべきじゃない」「何もしない方がいい」で終わらせないでください。
本記事では矯正治療と妊娠について、
・矯正中の妊娠について知っておいて欲しいこと
・治療が継続できる理由
・矯正治療よりも歯周病に注意する
・妊娠中でも安心して歯を健康に保つために
このようなポイントに説明しつつ、この記事を読んでいただいた方にとって希望を叶えるためのヒントになれば幸いです。
目次
1.矯正中の妊娠について最初に知っておいて欲しいこと
まず大切なのは、矯正中に妊娠を考えているのであればその旨を伝えることです。
担当の歯科医師はそのことを聞けば、麻酔を必要とする抜歯、経過観察を見るためのレントゲンのような処置が残っている場合、前倒しで処置するなど、安心して妊娠できる状態を作れるように考えます。
前もって言っていない、もしくは予定してなかったけど矯正治療中に妊娠がわかった時も、その時点でいいので担当医師に伝えてください。
デリケートなことなので、中には安定期に入ってから言おうと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、安定期に入る前こそ気をつけなければなりません。
前もって言ってなかったけど大丈夫かなと慌てなくて大丈夫です。
その時にできる最善の方法を医師と相談して決めればいいのです。
例えば、落ち着くまではこれまでの治療を無駄にしないように処置を施しお休みすることもできます。
もしも矯正治療前から妊娠も検討しているような場合は、歯科医選びから慎重に行いましょう。
歯医者の中にも「矯正専門の歯科」、「マタニティ歯科」といった専門知識を持った歯医者があります。
多くは通常の歯の治療もできるところなので、少しでも可能性があるのであれば、はじめから専門的な歯医者を探すことをおすすめします。
2.矯正治療中に妊娠しても治療が継続できる理由
まず、妊娠中にお腹の赤ちゃんに影響を与える可能性が大きい項目をあげてみます。
それは、
・抜歯による局部麻酔
・経過観察を見るためのレントゲン
・痛み止めなどの投薬
主にこの3つです。その他細かい部分で言えば、通院そのものや、診察を受けること自体が負担などありますが、特に気にされるのがこの3つでしょう。
これらの項目は、妊娠中に無理して実施しなくても問題無いことです。
仮に何らかの理由ですることになったとしても基本的には問題ありません。
妊婦さんとお腹の中の赤ちゃんに影響は無いとされる処置の仕方が可能だからです。
2-1.麻酔の影響はほぼ無い
まず、抜歯による局部麻酔ですが、だいたい矯正のために必要な抜歯は治療の初期段階で行います。
妊娠を検討していることを伝えれば、できるだけ早い段階で抜歯を行うので問題ありません。
もし何らかの理由で抜歯のような外科処置が必要になった場合でも、部分的な局部麻酔なので胎児への影響はほとんど無いと言われています。
ただ処置をするのは安定期に入ってからにしましょう。
2-2.レントゲンが必須なのは施術前
レントゲンも同じで矯正治療で必ず必要になるのは施術開始前です。
その時に歯の状態を確認し、その方にあった治療プランを考えます。
その後、必要になるのは途中経過を見る時と、治療が終わった後に歯の状態を確かめる時です。
仮にレントゲンも、何らかの理由で撮らざるを得なくなったとしても、歯はお腹から離れている箇所であるため影響はほぼありません。
防護用エプロンで放射線を遮る対処を施すことも可能です。
さらにレントゲン自体もX線が1/10以下になるデジタルレントゲンというものあるので、より安心して対応できる方法もあります。
2-3.投薬は医師の判断を信じよう
最後に投薬ですが、歯列矯正にて処方する薬は痛み止めぐらいです。
基本的には影響の無い、過去の服用事例から安全とされる薬を処方しますので問題ありません。
飲まなくて良いのであれば飲まないにこしたことはないため。
処方は医師と患者さんとが相談して決めていくことになるでしょう。
むしろ妊娠中はなんでもかんでも、薬を飲んではダメだと思い込むことの方が危険です。
歯の治療に関係無く薬を服用する可能性はあり、風邪薬や便秘薬など服用することも考えられます。
熱を下げるためのアセトアミノフェンなどは妊婦さんも服用されています。
歯に限ったことでは無く、投薬については必ず医師に相談してください。
妊娠時に体調が悪くなったら、いつも以上に適切に対処しなければいけません。
専門の医師が薬を必要だと診断する場合は信じて服用することも必要です。
3.妊娠中は歯周病にかかりやすい
妊婦さんが気をつけておかないといけないのは、妊娠中は歯周病や虫歯になりやすくなってしまうことです。
ホルモンバランスが変化し、エストロゲンが増えることによってなりやすい「妊娠性歯肉炎」などです。
妊娠中は口の中の異物感が気になり、ブラッシングすらできなくなってしまうことがあります。
歯に食べカスが詰まったままになりやすく、口の中が汚れがちです。
特に矯正治療による器具が装着されていると、そこにも詰まりやすくなります。
無理してブラッシングはせず、こまめに口をゆすぐなどして、できるだけ自分がストレスに感じないように対処しましょう。矯正治療による器具は安定期に入るまでは一時的に外される方もいます。費用が必要になってきてしまいますが、器具の異物感が気になるとストレスになるので安全を考えて予め取っておくことも1つです。
治療の内容とタイミングにもよりますが、2~3ヶ月ほどお休みすることもできます。
妊娠時に大事なことは、何よりも健康的な口内を保つことです。
歯周病を放置すると早産の可能性があると言われており、お母さんだけの問題では無くなってしまいます。
4.妊娠中でも安心して矯正治療や虫歯の治療が受けられる
矯正治療や歯周病の治療など、妊娠中に歯科に通うことむしろ増えます。
無理をする必要はありませんが、検診や矯正の経過観察のため治療が必要な時はしっかり通いましょう。
途中から治療先を変えることは難しいかもしれませんが、妊娠中は本当に些細なことが気になるので、歯医者側が状況を理解してケアしてくれる方が安心ですよね。
マタニティ歯科であれば母子手帳を持って来院をするように促すなど、細かく妊婦さんと胎児の状況を把握しながら治療をしてくれます。
歯の治療は赤ちゃんが健康的に産まれてくるためにも必要な行動なのです。
マタニティ歯科や矯正専門の医師が常勤している専門歯科など、受ける歯科しだいで妊娠時の通院による安心度合いは格段に変わります。
妊娠中の症状に個人差はありますが、心身ともに敏感になりやすいことは皆さんに共通していることです。
余計なストレスを感じないように、マタニティ歯科や矯正専門の専門歯科を頼りにしましょう。
5.まとめ 妊娠中でも矯正治療はできる
妊娠中でも矯正治療は継続できます。
ただ矯正治療を継続するかどうかに関わらず、お母さんの口内の状態は胎児にも影響があるということを正しく理解しておいてださい。
矯正治療は無理なく継続できるのであれば、むしろしておく方がいいかもしれません。
それは赤ちゃんが生まれた後のことを考えてです。
一番身近で赤ちゃんと触れあうお母さんのお口の中が綺麗であることは、赤ちゃんへ虫歯菌を移さないようにすることにも繋がります。
矯正をして歯並びが綺麗になれば、見た目の美しさだけでなくブラッシングの効果も上がり清潔に保つことができます。
矯正治療も妊娠もどちらも本当に大切なことです。
矯正治療中に「妊娠した」「するかもしれない」「しようと考えている」そんな時は一人で考えず医師に相談してください。