矯正歯科専門WEBメディア「ウィズスマイル」

矯正「認定医・専門医」とは?資格の有無で何が違うの?

歯科クリニックのホームページの院長紹介やスタッフ紹介のページに、保有資格として「〇〇認定医」「〇〇専門医」と書かれているのを目にしたことのある方も多いと思います。しかし、この「認定医」「専門医」とはどのような資格なのでしょうか。

 

今回は、矯正歯科に関して認定医・専門医がどういう資格のか、またこれらの資格を保有している歯科医師は他の歯科医師と何が異なるのかについて解説します。

1 矯正歯科における認定医とは

日本矯正歯科学会をはじめとする矯正治療に関する学会や審査機構では、おおむね5年以上の矯正治療経験を持ち、審査に合格した歯科医師に「認定医」の資格を与えています。

1-1: 日本矯正歯科学会の認定医

矯正歯科に関する学会の中で最も会員数の多い日本矯正歯科学会では、以下の要件を満たす歯科医師に対して認定医の資格を与えています。

 

  • 歯科医師免許を取得している
  • 5年以上学会会員である
  • 矯正歯科基本研修終了後、5年以上矯正歯科臨床研修を修了している
  • 学会が認めた刊行物に臨床に関する論文を発表している
  • 学会倫理規定を遵守している

 

資格は5年ごとに更新となりますが、条件があります。認定医の資格取得後あるいは更新後5 年以内に、所定の研修ポイントを獲得し、学会が認めた刊行物や学術集会で矯正歯科臨床に関する報告を行わなければなりません。

1-2: 日本成人矯正歯科学会の認定医

また、成人矯正に特化した学会である日本成人矯正歯科学会でも認定医の制度があります。

要件は以下のとおりです。

 

  • 日本の歯科医師免許を有する
  • 本学会に5年以上継続して在籍している

 

また、以下のいずれかにも該当していることも必要です。

  • 本学会認定医研修プログラムを終了している、あるいは矯正歯科専門医療機関に2年以上在籍して矯正歯科基礎研修を修了し、認定医申請資格試験に合格している
  • 認定研修施設または矯正歯科専門医療機関に5年以上在籍していると同等の矯正臨床経験を有すると認められる者は、認定研修プログラムを修了し、認定医申請資格試験に合格していること。

2 矯正治療における専門医とは

認定医の上位資格として「専門医」があります。矯正治療における専門医は、日本矯正歯科専門医機関と日本歯科矯正専門医認定機構(JBO)でそれぞれ認定されています。

2-1: 日本矯正歯科専門医機関の矯正歯科専門医

専門医制度はそれぞれの学会・機関にありましたが、共通した制度をつくろうと2011年より新たな審査機構を設けようとする動きが広まりました。その後、令和元年8月に厚生労働省指導による審査機構である日本矯正歯科専門医機関が設立されます。そこで令和2年より、新しく認定されることになったのが「矯正歯科専門医」です。日本矯正歯科専門医機関で矯正歯科専門医と認められるためには、以下の要件を満たすことが必要です。

 

  • 日本で取得した歯科医師免許を有する
  • 連続して 5 年以上、日本矯正歯科学会、日本成人矯正歯科学会、もしくは日本矯正歯科協会のいずれかの正会員
  • 本機関が認定した研修施設における矯正歯科基本研修修了後、その期間を含め 5 年以上にわたる矯正歯科臨床研修を修了した者(施設長の承認が必要)
  • 原則的に医育機関もしくは医療機関に週 32 時間以上勤務している
  • 本機関の認めた刊行物に矯正歯科臨床に関する論文を発表している
  • 本機関の倫理規程を遵守

2-2: 日本歯科矯正専門医認定機構(JBO)の認定専門医

日本歯科矯正専門医認定機構の認定専門医は、患者さんが安心して治療を受けられるよう、今までにない非常に厳しい基準を設けていることがその特徴です。そのため、持っていれば患者さんからの高い信頼を得られる資格であるといえるでしょう。

 

資格要件は以下のとおりです。

  • 矯正専従医としての資格が5年以上ある
  • 100症例以上の矯正治療経験を持つ

100症例の治療実績の中から審査委員に認定された5症例につき、臨床力評価を受けて合格すること

 

3 その他の矯正治療に関する資格制度

上記のほかにも、矯正治療に関して以下のような資格があります。

 

3-1: 日本舌側矯正歯科学会(JLOA)のリンガル矯正認定医制度

リンガル矯正認定医とは、舌側矯正(裏側矯正)治療の治療水準の維持と向上、適切な提供を目的に、舌側矯正について高度な学識と治療技術を持った歯科医師に与えられる資格制度です。資格要件は以下のとおりです。

 

  • 歯科医師免許を有する者
  • 本会に3年以上在籍している会員
  • 舌側矯正治療(上下全顎)で自らが治験した症例を5症例提出する
  • 舌側矯正治療による学術講演・学術展示・症例展示のいずれかの経験を2件以上有する

3-2: 日本矯正歯科学会の臨床指導医(旧専門医)

日本矯正歯科専門医機関の矯正歯科専門医ができたことに伴い、日本矯正歯科学会の専門医は「臨床指導医」へと名称が変更されました。臨床指導医の要件は以下のとおりです。

 

  • 歯科医師免許・認定医資格を有する
  • 7 年以上継続して学会会員である者
  • 学会の認めた刊行物や学術集会で矯正歯科臨床に関連する報告を発表した者
  • 学会倫理規定を遵守する者

 

臨床指導医も5年ごとに更新しなければなりません。1・2回目の更新時は5 年ごとに 3 症例(3 回目以降は1 症例)を、学会の認めた学術集会で報告し、審査に合格することが条件となっています。

 

ちなみに、臨床指導医は他の分野の専門医の資格を持っていても構いません。たとえば、口腔外科学会やインプラント学会の専門医の資格を持ちながら、臨床指導医の資格を持っている分にはまったく問題ないとされています。

4 矯正歯科医を選ぶときは認定医・専門医の資格が基準になる?

矯正治療を受けるときには、上記のような認定医や専門医のクリニックで治療を受けるべきなのでしょうか。

 

4-1: 認定医・専門医はひとつの目安に

認定医や専門医の資格は、一定の治療経験や学識があり、なおかつ審査に合格していなければ保有することはできません。そのため、認定医や専門医の資格は、その分ほかの歯科医師よりも技術力や知識があることの客観的な証明になります。そのため、治療を受けようとする歯科医師が認定医や専門医の資格を持っていることは、クリニックを選ぶときの目安になるでしょう。

4-2: 矯正歯科の認定医・専門医がなくとも良い先生はいる

しかし、実は矯正歯科医には特別な資格が不要です。極端な話をすれば歯科医師免許さえあれば矯正歯科の看板を掲げられます。そのため、認定医や専門医の資格を持たずとも、ハイレベルな技術や知識を持つ歯科医師も少なくありません。治療を受けようとする歯科医師に信頼できる治療実績があるかどうかは、ホームページを参考にしたり、矯正治療の相談をしたときにさりげなく尋ねてみるとよいでしょう。自分の周りに通っている友人・知人がいれば、治療を受けた感想を聞いてみるのもひとつの方法です。

 

 

矯正治療の費用は決して安くありません。「思ったような仕上がりにならなかった」という事態にならないために、治療を受けるクリニックは慎重に選びたいものです。そのときに、矯正歯科に関する認定医や専門医の資格はひとつの安心材料になるでしょう。矯正治療を受けるためのクリニックを探すときには、資格という視点で探してみてはいかがでしょうか。

この記事が気に入ったら
「評価」ボタンを押してください!

★★★★★

評価する

24時間web予約
pagetop
WEB予約
クリニックを探す