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乳歯の矯正って本当に必要なの?

「どうせ生え変わるんだから乳歯の矯正は必要ない」と思っている人も多いことでしょう。

しかし、乳歯の段階で矯正を行うことは、大人になったあとの歯並びや口回りの外見に大きな良い影響を与えるのです。

 

今回は、乳歯の矯正がどうして大切であるのかをお伝えします。

1 乳歯矯正にはメリットが多い

乳歯が生えている段階での矯正は、大きなメリットが複数あります。

1-1 あごの歪みを防ぐ

子どもの体は成長途中であり、口周りの骨格や筋肉も、日々成長していきます。

乳歯矯正を行う際には、あごのゆがみが原因で発生する噛み合わせ異常などを修正することも1つの目的となります。

具体的には、受け口や出っ歯などの矯正が行えます。

これらは筋力が育ち切っていない子どもの間だからこそ比較的簡単に、より効果的に治療が行えるのです。

1-2 永久歯矯正の負担を減らす

乳歯の時点で矯正治療を始めると、生え変わりの段階で永久歯が生えてくるために必要なスペースを充分に確保しながら歯並びを形成していくことができます。

永久歯が適切な位置に生えてくることの支えとなり、結果として永久歯治療が不要になったり、治療の負担自体が軽微になったりするのです。

 

前述のとおり、永久歯治療は骨格の完成した大人に対する歯科治療ですので、十分な効果を得るために必要な期間もそれなりに長くなってしまいます。

特に、あごに歯列が収まるだけの十分なスペースが確保できていないような場合では、抜歯して歯列矯正をおこなわなくてはならなくなります。

 

乳歯矯正を行っておくことで、こういった負担を低減させることができるようになる点は、大きなメリットです。

1-3 爪噛みや指しゃぶりなどのクセを取り除く

矯正治療を行う際には、口の中に矯正用の器具を入れることになります。

そうなると、親指を口の中に入れてしゃぶるという行為自体が難しくなり、爪噛みや指しゃぶりなどの癖を改善することにつながります。

 

指を口の中に継続的に入れるという行為自体が、前歯に対して前方向への圧力をかけやすくなり、かみ合わせを悪くする大きな原因ともなっています。

 

かみ合わせ治療の一環でもある矯正治療を行いながら、その原因となっている癖そのものを取り除くことができるのは、大きなメリットと言えるでしょう。

2 乳歯矯正を行わないと起こるかもしれない問題

骨格や骨格筋の矯正を行うことで、受け口(あごが前に突き出した、いわゆるしゃくれている状態)や出っ歯を改善することができるというのが乳歯矯正のメリットです。兆候が表れているにもかかわらず矯正を行わずにいると、その傾向が強まって、よりはっきりとした受け口・出っ歯になってしまう可能性が高まります。

大人になってからこれらの骨格を矯正するのには多大な時間と労力がかかります。なるべく早い段階で、歯科医と相談の上治療を始めることをおすすめします。

2-2 永久歯の歯列矯正に時間がかかる

矯正治療では、歯を動かして適正位置に移動するために、十分なスペースが必要になります。

乳歯時点で矯正治療を行っていれば、大人になってから永久歯に対して矯正治療を行う際も、十分なスペースが確保されているケースが多くなり、結果として矯正にかかる時間が短くて済みます。

 

対して、矯正を受けないまま大人になった場合では、歯が必要な場所に収まるだけのあごのスペースが足りず、歯並びを整えるために抜歯する必要が出てくることもあるのです。

永久歯の歯並びを気にするのであれば、乳歯の時点から対策をとっていくことが望ましいと言えるでしょう。

3 乳歯矯正を行うことのデメリットは?

もちろん、乳歯矯正を行うことにはメリットしかないわけではありません。どのようなデメリットがあるのかも、押さえておく必要があります。

3-1 治療によっては虫歯リスクが高まることも

治療器具を口の中に入れたままにする時間が長くなるため、磨き残しや不衛生な場所があれば、そこから虫歯になるリスクが高まります。

乳歯が虫歯になってしまうと、ほかの歯の虫歯リスクが高まることはもちろん、歯並びにも悪影響を与える可能性があるのです。

 

もし乳歯の虫歯が進行して、抜歯することになった場合、既存の歯が抜けた部分に向かって傾いてしまうリスクがあります。

そうすると、虫歯になっていた歯の下にある永久歯が生えてくるための空間が足りなくなり、理想的な歯並びで生えてこなくなってしまう可能性があるのです。

 

治療器具を入れる際は虫歯になりにくいものを選んだ上で、より丁寧に、磨き残しが発生しないように気を付けてあげる必要があります。

3-2 意図しない歯根吸収が発生することも

歯根が吸収されたように溶けて行ってしまうことを、歯根吸収といいます。

大人の矯正治療でも発生するリスクはありますし、乳歯が生え変わる際にもこの現象は起こっています。矯正治療で歯根吸収が発生するのは、治療するための力が強すぎることが主な原因と言われています。

歯根吸収が起こってしまうと、歯を支える力が弱くなってしまうため、歯が抜けるリスクが高まります。

 

成長に伴う自然な生え変わりでない場合、乳歯であってもこれは歯並びに対するリスクになります。

理由は、上で記した通り、他の歯が傾いてきてしまうことによって、永久歯が理想の位置に生えてきづらくなってしまうからです。

 

このようなリスクはあるものの、将来的に口回りのトラブルに対処することを考えると、早い段階から適切な治療を施しておくことが望ましいといえます。

乳歯矯正の経験が豊富で、信頼のおける歯科医を探しましょう。

 

 

4 乳歯矯正の費用は永久歯矯正の半額程度

乳歯矯正はそれなりの費用にもなります。どの程度かかるのかについても、ご紹介します。

4-1 保険適用外診療となるケースがほとんど

歯科矯正治療は、大人であっても基本的には保険適用外となります。保険が適用されるケースは、あごの外科手術が必要となる顎変形症に関する矯正治療など、厚生労働省が定めたいくつかのケースに限定されています。一般的な歯列矯正は、全額自己負担であるということを確認しておきましょう。気になる場合は、事前に歯科医に保険適用対象範囲の治療になるかどうかを聞いてみてもいいと思います。

4-2 子どもでも永久歯が生えそろったら大人と同じ矯正費用に

子どもの矯正治療は、乳歯のみの矯正、乳歯と永久歯の混合状態での矯正、永久歯のみの矯正の3パターンに大別できます。このうち、永久歯のみとなった歯に対する治療については、一般的に大人に対する矯正と同様の費用が掛かることが多いです。小児歯科であっても請求される額が跳ね上がりますので、注意しましょう。

費用面でも、なるべく早い段階で矯正治療が必要かどうかを確認し、また必要であれば施術を受けていくことが理想です。

5 きれいな歯並びは子どものうちから!

歯並びは、外見上の問題だけでなく、虫歯リスクの低減などにも大きな意味を持っています。

骨格を含め、歯並びを整えることは、永久歯の生えていない子どものうちから対応することが可能であり、むしろ乳歯の時点である程度矯正を行っておくことで、永久歯になったときの矯正をより簡単にしてくれるのです。

 

人によっては矯正が不要ということもあるかもしれませんが、お子さんの歯について気になった方は、ぜひ小児歯科で矯正等の必要性について確認してみてください。

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