矯正治療の調整料は毎月かかる上に、数年も払い続けるので、「本当に必要な費用なのかな・・・・・・」と不安に感じる方も少なくないでしょう。
そこで今回は、矯正治療の調整料について解説していきます。
これから矯正治療を始める方は是非、この記事を参考にしてください。
目次
1 矯正治療の「調整料」に含まれる「3つの費用」
そもそも調整料とは、矯正装置を調整した時に支払う料金のことです。
調整料が発生するのは、矯正装置を装着後の月に1度の通院の時になります。
月に1度の通院では、調整料として約5千円~1万円の支払いが必要になります。
ただ、矯正治療は口の状態にもよりますが、歯並びがキレイになるまで約1~3年の治療期間が一般的です。
仮に、2年の治療期間で調整料が5千円だった場合には、24ヶ月×5千円=12万円。
調整料だけで12万円の費用が必要になります。
調整料だけで、どうしてそんなに費用がかかるのでしょう。
調整料の中には、次の3つの費用が含まれているからです。
・担当医の技術料
・診査や歯磨き指導料
・材料費
それぞれについて、詳しく解説していきます。
1-1:担当医の技術料
歯は顎の骨の中にしっかりと埋まっているだけではなく、歯の周りの歯茎や歯根膜といった組織に支えられています。
一度に大きな力を歯にかけすぎると、骨がなくなったり、噛む衝撃を抑えてくれる歯根膜が傷ついたりする恐れがあります。
また、過度な歯への負担は、痛みが強くでる原因にもなり、日常生活に支障を及ぼす可能性が高いです。
そのため、歯を動かす時には少しずつ矯正装置にかける力を、コントロールする必要があります。
歯や他の組織へのダメージが少なくできるかは、担当医の技術力にかかっているといっても過言ではありません。
担当医の豊富な知識と高度な技術があってこそ、歯の状態や段階によって適切な力をかけることが可能です。
そのため毎月の調整料には、担当医の技術料が含まれている場合があります。
1-2:診査や指導料
通院の時には矯正装置の調整だけではなく、前回の時から歯がどのくらい移動しているか、歯茎や骨に異常がないかなどのチェックもしています。
特に、ワイヤーの矯正装置の場合には、歯磨きのしづらさで虫歯や歯周病になるリスクが高くなります。
虫歯や歯周病が進行すると一度、矯正治療を止めるケースも珍しくありません。
そうなると、治療期間がさらに延びてしまうため、定期的に歯磨き指導を行う歯科医院もあります。
調整料には、こういった診査や指導料が含まれているケースもあります。
1-3:材料費
矯正装置は、段階によって部品を交換していきます。
特に、ワイヤー矯正の装置は、使う部品や材料が多いため、調整料を高めに設定している歯科医院もあります。
その他にも、診療で使う材料や滅菌器具などの材料費を、調整料の中に含めている歯科医院もあります。
2 矯正装置によって「調整料」は変わる?
調整料が歯科医院によって値段が違うのは、歯科医院が自由に値段設定することができるからです。
また、使用する矯正装置の種類によって調整料金を変えている医院がほとんどです。
ここでは、それぞれに矯正装置の調整料について解説していきます。
矯正装置の種類は、次の4つになります。
・表側矯正
・裏側矯正(リンガル矯正)
・ハーフリンガル矯正
・マウスピース矯正
2-1:表側矯正
表側矯正は、矯正治療の中でも一般的な治療法です。
歯の表側にブラケットという装置を取り付けた上に、ワイヤーを通していきます。
装置の装着後の通院では、歯の動きに合わせて、ワイヤーの種類や曲げ方を変えて、歯にかける力をコントロールしていきます。
歯の表側に装置が付いていて、他の矯正装置より比較的に調整がしやすいため、調整料は5千円と設定している場合がほとんどです。
2-2:裏側矯正(リンガル矯正)
裏側矯正は、歯の裏側にブラケットとワイヤー装置を取り付ける治療法です。
リンガルとは、歯の裏側という意味です。
毎月の調整では、表側矯正と同様にワイヤー交換や曲げ方を変える処置を行います。
ただ、歯の裏側は狭くて処置がしにくく、担当医の技術力が必要になるため、調整料を少し高めに設定している歯科医院が多いです。
裏側矯正の調整料は、7千円~1万円が一般的です。
2-3:ハーフリンガル矯正
ハーフリンガル矯正とは、ワイヤー装置を付ける位置が上下で異なる治療法です。
上の歯は、歯の裏側に、下の歯は表側に装置を取り付けるので、ハーフリンガル(半分だけ歯の裏側に装置を装着する)矯正と呼ばれています。
上顎の裏側に装置が付いているので、調整料が表側矯正に比べると少し高めに設定している場合が多いです。
ハーフリンガル矯正の調整料の相場は、5千円~7千円になります。
2-4:マウスピース矯正
マウスピース矯正は、透明なマウスピースを歯に被せて徐々に歯を動かす治療法です。
専用のコンピューターで最終的な歯並びまでのマウスピースを複数個、作製して段階ごとに付け替えながら歯並びを整えていきます。
マウスピースの使用が初期の段階の時は、1ヶ月に1度の頻度で来院して調整をします。
その後は、歯並びの段階に合わせて2週間に1度のペースでマウスピースを付け替えるのを自分で行うようになるため、通院頻度が1ヶ月~3ヶ月に1回程度に少なくなります。
ただ、歯並びの状態によっては、通院する頻度が変わらない場合もあります。
マウスピース矯正の場合には、次のようなことを通院のたびに確認していきます。
・使用しているマウスピースがしっかりと適合しているか
・順番通りに付け替えているか
・アタッチメント(歯の表面に付けるプラスチックの突起物)が外れていないか
マウスピースの調整料は、5千円ほどが一般的です。
しかしマウスピース矯正は、矯正完了までのマウスピースができあがっていて、ワイヤー矯正に比べて処置が少ないため、調整料を無料にしている歯科医院もあります。
3 調整料が無料になる「2つのケース」
次のようなケースでは、調整料が無料になることがあります。
・矯正治療費の中に含まれている
・総額制(トータルフィーシステム)
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
3-1:矯正治療費の中に含まれている
一般的な矯正治療の支払いは、処置別払いという方法です。
処置別払いとは、その日行った治療内容に対して金額を支払うことです。
処置別払いの方法だと、矯正治療費とは別に毎月の調整料が必要になるため、予想していた治療費より多く金額を支払っているケースも少なくありません。
そういった、治療費の不透明な部分を改善するために、矯正治療費の中に調整料を含めている歯科医院もあります。
矯正治療費の中に調整料が含まれている場合には、毎月の通院では支払いは必要ありません。
3-2:総額制(トータルフィーシステム)
トータルフィーとは、矯正治療で必要な全額を事前に提示するシステムのことです。
提示した金額の中には、矯正装置料、調整料、処置料、保定装置料などが含まれています。(保定期間中にかかる費用は、別で必要になる歯科医院もあります。)
毎月の通院では、調整料の支払いが不要で、治療期間が延びても追加料金が発生することもありません。
4 矯正治療する前に「調整料」を確認しよう
数年の期間が必要な矯正治療の場合には、調整料だけでも費用が高額になってしまいます。
また、予定していた治療期間より治療が延びた時には、調整料の支払いも延びることになり、費用の負担が大きくなります。
とはいえ、矯正装置の調整は、歯並びをキレイにするには必要不可欠です。
調整料の負担をなるべく減らすためには、トータルフィーシステムを取り入れたり、矯正治療費の中に調整料を含めたりしている歯科医院を選ぶようにしましょう。