「矯正治療は虫歯ができやすい」と言われています。
確かに、矯正装置を装着するので、汚れが溜まりやすく虫歯ができやすい環境になります。
しかし、元々の歯並びの見えない部分が虫歯になっていたケースがあります。
矯正治療が進んでいくと、歯が重なっていた部分がキレイに並び始めます。
この時に、歯と歯の間にあった虫歯が見つかることがあるのです。
とはいえ、矯正中に虫歯が多くできるのが怖い・・・・・・と不安に思っている方もいるでしょう。
そこで、この記事では、
・矯正治療中に虫歯治療ができるのか
・矯正中に虫歯にならないポイント
などについて解説していきます。
これから、矯正治療を始めようと思っている方は、是非この記事を参考にして下さい。
目次
1 矯正治療中は虫歯治療ができる?
結論から言うと、矯正治療中に虫歯ができても、治療は可能です。
そもそも、歯並びをキレイにする矯正装置には、大きくわけて次の2つのタイプがあります。
・歯の表面に固定して、取り外しができないタイプの矯正装置
・歯に被せて、取り外しができるタイプの矯正装置
それぞれの装置の特徴や虫歯治療について、詳しく見ていきましょう。
1-1:固定式タイプ:ワイヤー矯正の虫歯治療
矯正治療の基本となるワイヤー装置は、固定式タイプになります。
固定式タイプの矯正装置を使用している時に、虫歯ができても、虫歯の位置によっては、装置を外さずに治療が可能です。
ただ、装置があることで治療が難しい場合には、一時的にワイヤー装置を外してから虫歯治療を開始するケースが多いです。
さらに、ワイヤー矯正は、虫歯の大きさに関係なく治療ができます。
虫歯の進行している範囲が大きいと、被せ物をつくる治療が必要です。
そういったケースでは、ワイヤー装置を外してから、虫歯を除去して、被せ物を作製していきます。
被せ物を歯に装着した後は、ワイヤー矯正装置を再度取り付けて終了になります。
1-2:取り外しできるタイプ:マウスピース矯正の虫歯治療
マウスピースは、取り外しができるタイプの装置です。
マウスピース矯正中に虫歯ができた場合には、小さい虫歯の治療は可能です。
ただ、虫歯が大きいケースでは、応急処置だけを行って治療をしない歯科医院もあります。
マウスピース矯正は、最終的な歯並びまでのマウスピースを事前に、約20~40個を作製している状態です。
虫歯が大きくて、歯の形や噛み合わせの位置が変わるような虫歯治療が必要になると、作製したマウスピースが合わなくなるので、使用できなくなります。
とはいえ、痛みが強く、緊急性が強い虫歯の場合には、虫歯治療が優先になり、治療後は新たにマウスピースを作り直すことになります。
そうなると、別途で費用がかかる歯科医院がほとんどです。
2 矯正装置によって虫歯のなりやすさが違う?
矯正装置には、次のような種類があります。
・表側矯正
・裏側矯正
・マウスピース矯正
それぞれの装置によって、虫歯のなりやすさに違いがあるのかを見ていきましょう。
2-1:表側矯正
表側矯正とは、歯の表側にワイヤー装置を固定する方法です。
表側矯正では、歯に圧をかける金属のブラケットと、歯を引っ張る役目をするワイヤーを歯の表面に専用の接着剤で固定します。
表側矯正は、ブラケットの上にワイヤーを専用のゴムで止めたり、歯並びによっては、上下の歯にゴムを引っかけたりするため、歯磨きが難しくなります。
特に、歯と歯の間は、デンタルフロスが使用できなくなって、汚れが溜まりやすく、虫歯になりやすいです。
また、装置を歯の表側に付けることで、一時的に唇が閉じにくくなります。
唇がしっかりと閉じられないと、口の中が乾燥して虫歯になりやすくなります。
2-2:裏側矯正
裏側矯正は、ワイヤー装置を歯の裏側に付けて、歯並びをキレイにしていく治療法です。
表側矯正と同じく、裏側矯正の場合でも、デンタルフロスや糸ようじが使えないので、歯と歯の間が虫歯になりやすいです。
しかし、下の歯の裏側には、唾液がでる腺がいくつかあります。
唾液には、汚れを洗浄したり、細菌の増殖を抑えたりする働きがあります。
裏側矯正は、唾液の洗浄効果を受けやすいので、表側矯正に比べると虫歯になりにくいのが特徴です。
2-3:マウスピース矯正
マウスピース矯正は、透明のマウスピースを歯に被せて、少しずつ歯を移動させながら整える方法です。
マウスピースは取り外しができるため、矯正を始める前と同様に歯磨きや歯と歯の間のケアができ、口の中を清潔に保つのがワイヤー矯正より簡単になります。
取り外しタイプのマウスピース矯正は、他の矯正方法に比べると虫歯になりにくいのが特徴です。
ただ、マウスピースの装着時間は、20時間以上が一般的です。
マウスピースは歯にピッタリと被せて使うため、装着している間は、唾液の効果を受けにくく、虫歯になる可能性があります。
また、マウスピースを装着したままの食事は禁止ですが、水分補給はできます。
糖分を含む飲料水を口に含んだ場合には、マウスピースの隙間から歯に入り込んで、糖が残りやすい状態です。
糖が歯に残っている時間が長いと、虫歯になる可能性があります。
3 矯正中に虫歯にならない「3つのポイント」
初期の虫歯や小さい虫歯は、治療をせずに様子を見たり、1回の治療で終わったりすることが多いです。
とはいえ、虫歯治療となると矯正期間が延びたり、追加で治療費がかかったりするケースもあるので、矯正中はなるべく虫歯にならないようにするのが得策です。
そこで、ここでは、矯正治療中に虫歯にならない3つのポイントについて、解説していきます。
3-1:歯磨き指導を受ける
ワイヤー矯正は部品も細かくて、歯ブラシだけで汚れを取るのは難しいです。
そのため、矯正治療中には、タフトブラシを使用することが多いです。
タフトブラシは、歯ブラシの先だけが付いているような歯ブラシで、形が小さく、装置の周りも細かく掃除することができます。
矯正装置を付けた後は、タフトブラシの使い方を含め、毎日の歯磨きの仕方を担当医や歯科衛生士に教えてもらいましょう。
汚れが残りやすい部分や磨くのが難しい部分の磨き方を指導してもらい、実践することで虫歯になるリスクが低くなります。
3-2:水分をこまめに取る
口の中が乾燥状態では、細菌が増殖して虫歯になるリスクも高くなります。
口の乾燥を防ぐためには、こまめに水分補給が効果的です。
また、ガムを噛むのは、唾液の分泌を促すので、虫歯予防にもなります。
ただ、マウスピース矯正の場合には、マウスピースを装着したままガムを噛むことは、できません。
ガムがマウスピースにくっついて、歯の動きに支障がでる可能性があるからです。
3-3:担当医の指示を守る
例えば、タフトブラシの使用や食後の歯磨きを行うように担当医に指導されたのにも関わらず、使わなかったり、歯磨きをしなかったりすると、虫歯になる可能性が高くなります。
また、矯正治療は、歯並びの段階によって、装置を取り替えていきます。
来院時期を守らずに、同じ装置を長期間付け続けていると、装置に汚れが付いたままで、虫歯になりやすいです。
虫歯から歯を守るためにも、担当医から指導されたことや来院時期は、必ず守るようにしましょう。
4 矯正治療中は、歯のケアに気をつけよう!
矯正治療中は、虫歯治療をすることが可能です。
ただし、使用する矯正装置によっては、虫歯の治療をすぐに行わなかったり、虫歯が大きいケースでは、虫歯治療後に装置を作り直したりすることがあります。
矯正治療中は、装置を長時間付けているので、虫歯になりやすく、自宅での歯磨きや定期的なクリーニングが、虫歯予防に効果的です。
矯正治療中に虫歯ができた場合には、虫歯の様子を見ながら、又は適切なタイミングで虫歯治療をしながら、矯正治療を進めることができるので、安心して矯正治療を始めてくださいね。