「歯列矯正に興味はあるけれど、いまひとつ踏み出せない」という方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。費用はけっして安くはありませんし、治療期間もある程度かかることから、社会人の方がとくに判断に慎重になるのは当然ですよね。
矯正治療のメリットとして、見た目の改善がよく挙げられますが、それだけではありません。
そこで本記事では、見た目の改善以外のメリットを7つご紹介します。そのうち4つは、社会人の方に向けた内容で、残りの3つは、子どもの矯正を検討している方にぜひ読んでいただきたい内容となっています。
メリットを客観視することで、いまの自分に本当に必要なのかどうかを判断することができるようになると思いますので、歯列矯正に関心のある方は、ぜひご一読ください。
目次
- (1)歯列矯正をする主なメリット
- (1-1)虫歯や歯周病のリスクが軽減される
- (1-2)肩こりや背中の張りを改善
- (1-3)顎関節症のリスクを軽減
- (1-4)滑舌を改善
- (2)子どものうちから歯列矯正をするメリット
- (2-1)あごの成長をコントロールできる
- (2-2)歯を動かしやすいため矯正効果が高い
- (2-3)成人の矯正よりも期間が短く費用が安い
- (3)どんな矯正治療方法があるの?
- (3-1)あらゆる歯並びに対応できる「ワイヤー表側矯正」
- (3-2)歯の裏側だから目立たない「ワイヤー裏側矯正」(舌側矯正)
- (3-3)人前で目立たず食事も楽しめる「マウスピース矯正」
- (3-4)子どもの矯正器具なら「ムーシールド」
- (4)まとめ
(1)歯列矯正をする主なメリット
歯並びは、見た目の美しさだけでなく、体の健康にも大きな影響をもたらします。代表的なメリットを4つご紹介します。
(1-1)虫歯や歯周病のリスクが軽減される
歯列の状態は、口内環境の清潔さと深く関わっています。均等に歯ブラシが行き届くのは、美しい歯並びのほうです。しかし歯がガタガタな叢生(そうせい)には、「食べかすが詰まりやすい」「歯ブラシが届かない」といったデメリットがあります。
自分では綺麗にブラッシングができていると思っていても、虫歯や歯周病になりやすいという方がしばしばいらっしゃいますので、注意が必要です。口元の健康を保つためにも、歯並びに自信のない方は、歯列矯正をおすすめします。
(1-2)肩こりや背中の張りを改善
「昔から肩こりがひどくて、なかなか良くならない」「整体に行ってもすぐに首や背中が張る」
このような慢性的な症状にお心当たりはありませんか?もしかしたらそれは、噛み合わせが原因かもしれません。
あごの筋肉と肩や背中の筋肉はつながっています。正常ではない噛み合わせでものを噛む習慣を続けていると、血流が悪くなり、あご周辺の筋肉を硬くしてしまうのです。
歯列矯正で歯並びを改善することができれば、これまで悩まされていた肩・首・背中の張りから解放されるかもしれません。
(1-3)顎関節症のリスクを軽減
口を開くたびにポキポキと音が鳴ったり、ズキンと痛んだりして、顎関節症になると非常にストレスの多い日常を送ることになってしまいます。顎関節症の原因は人によってさまざまですが、噛み合わせが悪いことでなってしまう方も少なくありません。
「鏡で正面を向くと、明らかにあごのバランスがズレている」「横を向くとしゃくれ気味になっている」という方は、できるだけ早めに歯列矯正を検討することをおすすめします。
(1-4)滑舌を改善
「吃音症ではないはずなのに、なぜか舌が回らなくなる発音がある」
「音がこもったような発音になってしまい、聞き取りにくいと言われることがある」といった事例にお心当たりがある方は、歯列矯正で改善できる可能性があります。
もともと「さ・た・な・ら」行は、歯の裏側に舌をくっつけて発音する仕組みになっています。歯並びが悪いと、適切な位置に舌をつけることができなくなるため、つっかえたり、つぶれたりしたような発音になってしまうのです。
(2)子どものうちから歯列矯正をするメリット
海外のドラマや映画などでは、矯正器具を付けた子どもが当たり前のように登場します。
とくにアメリカが顕著で、昔から歯並びの美しさを非常に重要視しているため、両親は子どもの矯正治療にお金を惜しみません。
子どものうちから歯列矯正をすると、以下のようなメリットを得られます。
(2-1)あごの成長をコントロールできる
歯並びが不自然になる原因の一つには、あごの成長が挙げられます。普通、上あごの骨は、下あごの骨よりも成長が早く、それによって上下のバランスが保たれます。
しかし何らかの理由で、下あごが上あごよりも成長してしまうと、いわゆる「受け口」になってしまいます。
小さい頃のうちから歯列矯正を行えば、あごの骨の成長をコントロールできますので、受け口の未然に防ぐことが可能です。
(2-2)歯を動かしやすいため矯正効果が高い
子どもの骨は成人に比べると柔らかいため、理想の歯並びに近づけることができます。
成人してから矯正治療を行うと、思っていたように歯を動かすことができなかったり、元の位置に戻ってしまったりするリスクがありますので、できるなら子どものうちから歯列矯正を始めるようにしましょう。
(2-3)成人の矯正よりも期間が短く費用が安い
矯正にかかるトータルの費用や期間を考えると、やはり子どものうちから歯列矯正を始めるほうが、大人のときよりも有利です。
もちろん、社会人になってから矯正治療を行うという選択肢もありますが、子どもの将来的な負担を軽減するという意味で、予算に都合がつく限りは、両親が矯正治療をすすめてあげてください。
(3)どんな矯正治療方法があるの?
最後は、矯正治療に関心を持っていただいた方々のために、具体的にどんな矯正治療があるのかについて解説します。特徴はもちろんのこと、費用相場や治療期間についても説明しますので、ぜひ参考にしてみてください。
(3-1)あらゆる歯並びに対応できる「ワイヤー表側矯正」
歯の表側にワイヤーを取りつけて力加減を調整することで歯を動かしていくのが「ワイヤー表側矯正」です。昔から世界中で支持されている矯正治療の王道ですので、ワイヤー器具の装着に抵抗がない方には、この矯正方法がおすすめできます。
メリット | ・対応可能な歯列が豊富
・信頼と実績がある ・ワイヤーの細かい調整が可能 ・他の矯正方法に比べるとリーズナブル |
デメリット | ・見た目が悪い
・一度装着すると簡単に取り外せない ・口の中に器具が当たって痛むことがある ・食べ物に制限がかかる場合がある ・食べかすが詰まりやすく、虫歯や歯周病になるリスクがある |
費用相場 | 50~100万円 |
治療期間 | 1~3年 |
おすすめできる人 | ・周囲に矯正していることを知られても問題がない
・費用を抑えつつ確かな矯正効果を望んでいる |
(3-2)歯の裏側だから目立たない「ワイヤー裏側矯正」(舌側矯正)
ワイヤー表側矯正の最大のデメリットは、周囲に矯正していることを知られやすいということ。審美的に問題がありますので、人前で喋る機会の多い仕事や接客業に従事している方には不向きといえるでしょう。
そんなワイヤー表側矯正の欠点を克服したのが、「ワイヤー裏側矯正」(舌側矯正)です。こちらは歯の裏側にワイヤーを装着し、内側から力を加えることで歯を動かしていきます。表側矯正よりは費用が高めになってしまいますが、「目立ちにくい」という利点は特筆に値します。
メリット | ・目立ちにくい
・唾液で流れるので食べかすが詰まりにくい |
デメリット | ・発音がしにくいことがある
・表側矯正よりは費用が高くなりがち ・歯列状態によっては対応できない場合がある ・一度装着すると簡単に取り外せない ・表側矯正よりも難易度が高い |
費用相場 | 100~150万円 |
治療期間 | 1~3年 |
おすすめできる人 | ・費用が上がってもいいので目立たないようにしたい
・接客業に従事している |
(3-3)人前で目立たず食事も楽しめる「マウスピース矯正」
「数年間ワイヤーを装着する生活に耐えられないかも……」と懸念している方には、付け心地抜群で目立たない「マウスピース矯正」がおすすめです。
採取した歯型に合わせて作成したマウスピースを装着しますので、取外しは自由。TPOに合わせてマウスピースを使い分けることで、不自由のない生活を送ることができます。激しい運動をしている方や、人目を気にする思春期の子どもにもぴったりです。
メリット | ・目立たない
・取外しが自由 ・食事を楽しめる ・洗浄しやすい ・運動中も安心して装着できる |
デメリット | ・必要とされる装着時間が長い
・歯列状態によっては対応ができない |
費用相場 | 80~100万円 |
治療期間 | 1~3年 |
おすすめできる人 | ・スポーツをしている
・ワイヤー装着に抵抗がある ・接客業に従事している |
(3-4)子どもの矯正器具なら「ムーシールド」
子どもの矯正で最も適しているのは、10歳未満であるといわれています。この時期に矯正を開始すれば、受け口を防ぐこともできますので、非常におすすめです。
「ムーシールド」は、そんな幼少期の受け口のために開発された子ども用マウスピース。3歳から着用可能で、費用はたったの5~15万円程度といわれています。「あれ?うちの子、ちょっとあごがしゃくれているかも……」と思ったら、まずは早めに最寄りの歯科医院に相談してみましょう。
メリット | ・リーズナブル
・寝る前に装着するだけでOK ・マウスピースだから口をぶつけてもケガをしない |
デメリット | ・遺伝性による受け口もあるため、完治する保証はない |
費用相場 | 5~15万円 |
治療期間 | 約1年 |
おすすめできる人 | ・子どもが受け口気味になっている
・小さい頃から矯正を始めるべきだと思っている |
(4)まとめ
主なメリット | 見た目が改善
虫歯や歯周病のリスクが軽減される 肩こりや背中の張りを改善 顎関節症のリスクを軽減 滑舌を改善 |
子どもの矯正メリット | あごの成長をコントロールできる
歯を動かしやすいため矯正効果が高い 成人の矯正よりも期間が短く費用が安い |
歯列矯正は、単に見た目を改善するだけではなく、心身の健康状態を向上させるメリットがあります。人前で笑う、ハキハキと喋る、会食に出かけるなど……みなさんも、美しい歯並びで自分に自信を持てるようになりませんか?