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大人の矯正治療には年齢制限があるの?高齢で矯正治療をする時に気をつけること

矯正治療は、若い人だけの治療法ではなく40代や50代、70代の方でも矯正治療を始めるのに遅くはありません。

 

とはいえ、

・年齢が原因で歯並びがキレイにならないのでは?

・持病があるけど大丈夫かな?

 

といったことに悩んで、治療への一歩が踏み出せない方もいると思います。

そこで今回は、大人になってから始める矯正治療について解説していきます。

1 大人の矯正治療には年齢制限はない

矯正治療には、年齢制限はありません。

自分がしたいタイミングで、矯正治療を開始することができます。

 

例えば、

・結婚式までにキレイな歯並びにしたい

・子供が大きくなって自分の時間が増えたから歯並びを整えたい

 

などというように、人生にはいくつかターニングポイントがあります。

 

しかし、タイミングによっては治療ができないこともあり、歯並びをキレイにするのを後回しにしてきた方も多いのではないでしょうか。

 

歯並びをキレイにしたいという思いに年齢は関係なく、口や体が健康な状態であれば、高齢であっても何歳からでも矯正治療をすることができます。

2 年齢によって効果や治療期間は変わる?

大人になってから始める矯正は、治療期間が長い、人によっては変化があまり見られないと感じる方もいます。

 

その理由が次の通りです。

2-1:代謝機能の違い

年齢を重ねるごとに、体の代謝機能が低下していき、新しい細胞をつくる新陳代謝は、30歳をすぎてから少しずつ下がっていくと言われています。

 

矯正治療は、歯そのものの移動ではなく、歯を支えている骨が溶けたり、再生したりする代謝機能を利用して歯並びを整えていきます。

 

若い頃は活発だった骨の細胞も、高齢になると代謝が弱くなって、歯が移動するスピードが遅くなり2年~3年ほどの治療期間がかかるのが一般的です。

 

また、見た目の変化を感じにくいのは、歯の移動するスピードが遅いのが原因でもあります。

 

1ヶ月間で歯を動かせる距離は決まっていて、それ以上動かすと歯や骨にダメージを与えてしまいます。

 

大人の矯正は、歯や骨にダメージを与えない範囲で計画的に数ミリ単位で歯を移動させていくため、見た目が変わっていないと感じやすいです。

 

見た目の変化を感じられない時には、矯正治療を始める前の写真を、担当医に見せてもらうのがおすすめです。

 

矯正治療では、矯正を始める前や療途中など、定期的に歯並びの写真を撮影する歯科医院がほとんどで、写真と今の状態を比べると見た目の変化を感じやすく安心できます。

2-2:歯周病のリスク

代謝機能が低下すると共に、体の免疫力も低下していくので、高齢になるほど気づかないうちに歯周病になっている可能性が高いです。

 

歯周病が深刻化していると、矯正治療ができないと診断されることがあります。

 

歯周病は、歯周病菌が歯の周りの組織を壊していく病気で、痛みがなく静かに進行していくのが特徴です。

 

重度の歯周病は、歯を支えている骨がほとんどない状態です。

 

この状態で矯正治療をすると、さらに骨が減少して歯のグラつきが大きくなったり、最悪の場合には歯が抜けてしまったりする恐れがあります。

 

そのため、歯周病が発症している時には、矯正治療を始める前に歯周病治療をして安定した口の環境をつくることが優先になります。

 

歯周病治療と矯正治療を合わせると、治療期間がかなり長くなりがちです。

2-3:歯を失っているリスク

高齢になるほど、歯を失っているリスクが高くなります。

部分によっては、歯がない空間を活用して歯並びをキレイに並べることが可能です。

 

しかし、歯を失った部分を補うために、ブリッジの被せ物を入れているケースがあります。

ブリッジは、歯がない部分の両隣を削って繋がった被せ物のことです。

 

失った歯の両隣の歯は、被せ物で固定されているので、矯正装置を付けても歯を動かすことはできません。

 

そのため、ブリッジが入っている時は、連結部分を切断して歯を動かせる状態にします。

その後、矯正が完了してから再治療をするのが一般的です。

 

他にも、奥歯の一部がない場合には、ミニインプラントを使用することがあります。

 

ミニインプラントは、インプラントより小さいネジを歯茎に埋め込んだところを固定源として歯を動かす方法のことです

 

前歯を後ろに動かす時は、奥歯を固定源にして前歯を引っ張っていたので、奥歯がないとできないのが基本でした。

 

しかし現在では、ミニインプラントを活用することで、奥歯がなくても前歯を移動できるようになっています。

3 骨粗しょう症の方は矯正治療ができない?

骨粗しょう症の持病がある方は、矯正治療ができないと断られるケースも少なくありません。

 

骨粗しょう症は、骨を再生する細胞より破壊する細胞が上回ってしまい、骨が弱くなってしまう病気のことです。

 

骨粗しょう症の治療では、薬を飲んで骨折を防ぐ治療法が一般的で、歯科治療をする時には、薬の種類に注意が必要になります。

 

特に、ビスフォスホネート製剤(BP製剤)という薬を服用している場合には、骨に刺激を加えると骨が腐る、顎骨壊死(がっこつえし)を引き起こす危険性があるからです。

 

顎骨壊死が発症すると、治るのに時間がかかるだけでなく、痛みや腫れが長引くこともあるほどです。

 

また、BP製剤には、骨が再生しようとするのを抑えてしまうのと同時に、体が傷を治そうとするのを遅らせる傾向があります。

 

矯正装置を口の中に取り付けた時に、装置が粘膜に当たって傷ついてしまうと、細菌感染を引き起こしやく、症状が進行すると顎骨壊死に繋がります。

 

そのため、抜歯や金属のワイヤー矯正が必要になるケースでは、矯正ができないと診断されることもあり、そういった場合には、休薬期間を設けることで治療が可能と言われていました。

 

しかし、BP製剤を休薬することが、顎骨壊死のリスクを減少させる根拠がほとんどなく、むしろ休薬することで、骨折するリスクが高まることがわかってからは、休薬せずに口の中を清潔にして細菌感染するリスクを減らすことが、顎骨壊死を防ぐのに効果的という報告もあります。※1

※1:ビスフォスフォネート関連顎骨壊死に対するポジションペーパー

 

ただ、BP製剤を4年以上服用していて、顎骨壊死のリスクが高い方の場合には、抜歯といった外科処置の前に2ヶ月ほど休薬できれば行い、術後2週間を目安に薬の服用を再開するのが良いとされています。

 

矯正治療を始める前に、内科の担当医と歯科医師が連携して、情報交換をすれば、骨粗しょう症方でも、矯正治療を安全に行うことが可能です。

 

他の全身疾患の場合でも、しっかりと内科の担当医と歯科医師に相談することで、矯正治療ができるケースがほとんどです。

4 高齢で矯正治療をする「4つのメリット」

高齢の方が矯正治療をすると、次の4つのメリットがあります。

4-1:前向きになれる

歯並びが悪いのが、コンプレックスに感じている方も多いと思います。

 

特に他人から口元に注目が集まるのが嫌で、笑うのを我慢してなるべく口を開けないようにしていませんでしたか?

 

矯正治療では、理想とする歯並びを手に入れることができ、逆に、歯並びがキレイで口元に注目が集まるかもしれません。

 

キレイな歯並びは、明るく前向きな気持ちにさせてくれます

4-2:滑舌が良くなる

例えば、すきっ歯の歯並びは、歯と歯の間の隙間が大きいので、言葉を発する時に空気が漏れてしまいます。

 

特に「サ行」や「ハ行」などをハッキリと発音するのが難しく、聞き返されるのが恥ずかしいと感じる方も多いようです。

 

歯並びが整うと、言葉がハッキリと発音することができるようになるため、滑舌がよくなり、会話を楽しいと感じるようになります。

4-3:若返る

歯並びが悪い状態は、噛み合わせのバランスも悪く左右のどちらかに噛む力が偏っているのと同時に、顔のバランスも傾いている場合が多いです。

 

矯正治療では、歯並びだけでなく、噛み合わせを正しい位置へと誘導していきます。

 

そうすることで、上下左右のバランスが取れて顔の歪みがなくなったり、横顔のラインが美しくなったりするため、以前より若返った印象になります。

4-4:歯の寿命や健康寿命が長くなる

噛み合わせが悪い歯並びは、一部の歯に負担がかかっています。

 

例えば、過蓋咬合(かがいこうごう)という歯並びは、噛んだ時に下の前歯が見えなくなるほど、上の前歯が覆い被さっている状態です。

 

この歯並びは、前歯がほとんど上下で当たっておらず、奥歯でしか噛み合ってないことがほとんどです。

 

そのため、噛んだ時には、前歯が当たっていない分、奥歯に大きく負担がかかるようになっていて、力が継続的にかかると歯が耐えきれずに、ヒビが入ったり、折れたりすることがあります。

 

また、過度な力は、歯の神経を圧迫して死なせてしまう原因になります。

神経が死んでしまうと栄養が歯に届かなくなるので、歯が弱くなり寿命が短くなるのです

 

矯正治療で歯並びが整った場合には、噛み合わせのバランスが良くなるので、歯の寿命を伸ばすことに繋がります。

 

他にも、噛み合わせが整うと、しっかりと食べ物を噛むことができるようになって、脳への刺激になったり、消化器官の負担が減ったりするため、体が健康になる方もいます。

5 何歳からでもなりたい自分になれる!

大人の矯正治療には、年齢制限はありません

歯や体が健康であれば、何歳でも矯正治療が可能です。

 

ただ、矯正治療は、月に一度の通院や矯正治療中の虫歯や歯周病を防ぐためにしっかりと歯磨きケアができるのが必要です。

 

そのため、矯正治療を始める時には、担当医としっかりと話しあいましょう。

 

大人の矯正では、「早い」「遅い」は、なく自分が矯正したいと思った時が始めるタイミングで、いつだって、歯並びがキレイな自分になれます。

 

まずは、歯並びを担当医に相談することから始めてみませんか?

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