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「後戻り」してしまった歯の再矯正

あんなに長い時間と高い費用をかけて手に入れた歯並びが、しばらくして元の歯並びに戻ってしまう。数年続いた矯正治療を終えた直後、このような事態を想像できる人は少ないでしょう。しかし実際に矯正治療後に「後戻り」を生じるケースはめずらしくなく、治療を受けた人なら誰にでも起こりえることを知っておかなければなりません。

 

今回は自身の歯並びが「後戻り」してしまった際に、どのような対処法があるか、費用や期間はどのくらいかかるのかなどを詳しくご紹介していきます。

1.矯正治療後に「後戻り」してしまったら

1-1.「後戻り」は治療可能!まずは治療した医院に相談

過去に矯正治療した歯並びがしばらくして後戻りした場合でも、再矯正により歯並びをキレイに整え治すことができます。その場合、まずは治療を受けた歯科医院に早めに相談してみましょう。

 

治療を受けた医院であれば担当した歯科医が治療前の歯並びを把握しているほか、当時の写真や模型、レントゲンなども保存されています。これらの資料によって後戻りの原因が特定できれば、再矯正のプランもスムーズに立てやすいでしょう。また治療を受けた医院であれば、再矯正の費用についても考慮してもらえる可能性が高くなります。

 

ただし過去の治療に疑問がある、あるいは治療を担当した歯科医に不信感があるといった場合はこの限りではありません。再矯正をはじめるにあたっては歯科医と患者側の信頼関係が不可欠ですので、それが難しいと思われる場合は、他の医院での治療を検討してみましょう。

1-2.「後戻り」の再矯正にかかる費用と時間

再矯正を受けるにあたって一番気になるのは費用と時間です。再び同じ費用、同じ時間を費やさなければならないことを考えると、なかなか再矯正に踏み出せないという人も多いでしょう。ただ後戻りの再矯正の多くは、過去の治療ほど期間や費用がかからないのが一般的です。後戻りの程度にもよりますが、わずかなズレであれば部分矯正で治せる可能性も高く、ケースによっては半年~1年程度、費用も全部矯正の1/6~1/2程度にまで抑えられます。

 

また歯科医院の中には治療後に保証期間を設け、一定期間内に生じた後戻りについては無償で再矯正を行うところもあります。ただし保証の条件を満たしていることが前提ですので、まずは過去に治療した際の契約内容をよく確認してみましょう。これから矯正治療をはじめようと考えている人は、治療後の保証期間の有無も、歯科医院を選ぶ際の重要なポイントです。

 

一方で治療前の歯並びに戻ってしまったケースや、出っ歯・受け口になったケースでは、前の治療と同程度かそれ以上の費用や期間がかかる可能性があります。再矯正については、後戻りに気づいた時に放置せず、早めに対処するほうが費用面や治療期間の負担が少なくなるでしょう。

2.「後戻り」を治す再矯正の方法

2-1.前歯のすき間やがたつきは“部分矯正”も可

再矯正の場合も、基本的には通常の矯正治療と手法は変わりません。ただ後戻りの程度が軽ければ、過去の治療ほど大がかりになることは少なく、ワイヤーとブラケットの装着で半年~1年程度で後戻りを改善できます。

 

さらに前歯のみに生じた後戻り(すき間やがたつき)については、部分矯正での治療も可能です。装置の装着は前歯に限定されるため、以前の治療と比べ身体的・経済的負担も少なくすみます。

2-2.今なら“マウスピース矯正”という選択肢も

昔の矯正治療は“ワイヤーとブラケットによる治療”の一択でしたが、近年は新たに“マウスピース矯正”も再矯正の選択肢に挙げられます。

 

マウスピース矯正とは、プラスチック製のマウスピースを用いて歯並びを整える治療法です。歯の動きに応じて複数のマウスピースをあらかじめ作製し、それを7~14日ごとに交換しながら歯を動かしていきます。透明なマウスピースは装着しても目立ちにくく、また食事や歯磨きの際に取り外せるのがメリットです。またワイヤー矯正にありがちな痛みや不快感もほとんどありません。過去の治療のつらい経験が再矯正の足かせになっている人でも、マウスピース矯正であれば安心して治療が受けられるでしょう。

2-3.治療前に戻ってしまったら本格矯正が必要

後戻りの程度が大きく、治療前のレベルにまで歯並びが戻ってしまった場合は、前回の治療と同様の本格矯正による改善が必要となります。治療を一からやり直すことになるため、費用や治療期間も前回の治療と同じくらいか、場合によってはそれ以上かかると見込んでおきましょう。

 

3.矯正治療後に「後戻り」が起こる原因

3-1.最も多いのは「保定期間の不足」

矯正治療後に後戻りする原因で、最も多いのが保定期間の不足です。多くの人は「装置が外れる=治療の終了」と思いがちですがこれは大きな誤解で、ある意味で“矯正治療の盲点”ともいえます。

 

歯並びが理想通りに仕上がり、装置が外されたとしても、その時点ではまだ“仮の姿”に過ぎません。これは「引き伸ばしたゴムが手を放した瞬間に元に戻ろうとするのと同じ状態」と考えるとわかりやすいでしょう。その歯並びが本当の姿になるまでは、治療にかかったのと同じ時間が必要で、その間は「リテーナー」と呼ばれる保定装置を装着し、現在の歯並びを維持していきます。矯正治療はこの“保定期間”を経てはじめて治療終了のゴーサインが出されることをよく理解しておきましょう。

 

後戻りの多くはリテーナーの装着時間が短かったり、途中で、治療後の保証の対象からも外れるため注意が必要です。装着をやめてしまったりしたことで生じています。保定期間の不足による後戻りは「患者側の責任」とみなされ、治療後の保証の対象からも外れるため注意が必要です。

 

3-2.その他の原因

3-2-1.「口呼吸」「爪咬み」などの悪習癖

歯並びは遺伝的な要因のほかに、口呼吸や爪咬み、頬杖といった日常の何気ない“クセ”が原因で悪くなることがあります。これは1本の歯が唇や頬、舌からの力を受けて、その位置に維持されるためです。例えば口呼吸の場合は、「唇」から受ける力が弱くなった前歯が前方に動き出し、“出っ歯”になりやすい傾向があります。

 

このような歯並びを悪くするクセは「悪習癖(あくしゅへき)」と呼ばれ、矯正治療では装置による治療と並行して、悪習癖を改善するトレーニングを行っていきます。治療後も悪習癖が残ったままだと、後戻りを起こす可能性が高くなるため気をつけましょう。

 

3-2-2.不適切な治療・歯科医の技術不足

治療計画が不十分な治療や技術不足な歯科医による治療も、治療後に後戻りをする大きな要因となります。現行の法律では、歯科医であれば知識や経験が未熟でも「矯正歯科」を掲げることができるため、このような歯科医の治療によるトラブルも後を絶ちません。矯正治療を受けるにあたっては矯正歯科認定医・専門医が在籍しているか確認するなど、医院選びも慎重に行うようにしましょう。

 

また近年はこれまでにはなかった新たな治療法が開発され、昔に比べ矯正治療のハードルも低くなってきています。ただどんな治療にも必ずメリットとデメリットがあり、使い方を誤れば思わぬトラブルを招いてしまうこともよく理解しておきましょう。聞こえのよいフレーズばかりにとらわれず、自身の歯並びの状態に適した治療法を選ぶことも、治療後に後戻りを起こさないための重要なポイントです。

 

3-2-3.親知らず

親知らずは後戻りの原因になりやすいため、矯正治療ではあらかじめ抜歯をしておくのが一般的です。ただ親知らずは20歳前後に生える永久歯であるため、子どもの頃に矯正治療を受けたケースでは、後に生えてくる親知らずが原因で後戻りを生じることがあります。もし18歳以前に治療が終了している場合は、定期的にレントゲン等で親知らずの生え具合を確認するなど、早期に対処できる態勢を整えておきましょう。

3-2-4.矯正治療後の顎の成長

上顎は10歳頃に成長のピークを迎え、以後その大きさは安定する一方、下顎の場合は女子で15歳ごろ、男子で18歳ごろまで成長しつづけるといわれています。そのため子どもの矯正治療では、まれに治療後にも顎の成長が続き、結果として歯並びが再度悪くなってしまうことがあります。このような後戻りを予防するために、子どもの矯正治療では保定期間を長く設けるほか、治療が終わっても定期的に歯並びを観察していくことが重要です。

3-3.歯は常に動き続けている

歯は周囲から受ける微妙な力のバランスで維持されており、そのバランスがわずかでも変化すると歯は動いてしまいます。そして人が生きている限りその力のバランスは変化していくため、目には見えない程度でありながらも、歯は常に動き続けていきます。つまり上記に挙げた原因に当てはまらなくても、矯正治療後に歯並びが変化することはめずらしくなく、また誰にでも起こりえることなのです。

 

大切なのはそのわずかな変化が許容範囲のものなのか、あるいは放置することで悪化するものなのかを見極めることです。ただこれは自身で判断するのは難しいため、歯並びに異常を感じたら早い段階で担当医に相談するようにしましょう。

4.まとめ

矯正治療後に生じる後戻りは、再矯正によって元のキレイな歯並びに戻すことができます。後戻りはその程度が軽いものほど治りが早く、費用や治療期間の負担も軽減できるため、歯並びにズレがみられたら早めに対処するほうが得策です。後戻りが気になりだしたら、まずは治療を受けた歯科医院を受診し、今後の治療方針や費用面などを相談してみましょう。

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