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歯列矯正装置「インビザライン」とは?特徴をわかりやすく解説

矯正治療方法には、大きく分けてワイヤー矯正とマウスピース矯正の2通りがありますが、マウスピース矯正の中でメジャーな装置のひとつがインビザラインです。インビザラインは日本ではまだなじみがうすいものの、矯正治療を検討している方の中では「目立たない矯正」として認知されてきています。

 

インビザラインとは、どのような装置なのでしょうか。インビザラインで矯正治療を行うメリットや注意点とあわせて解説します。

1 インビザラインの特徴とは

インビザラインとは、マウスピース矯正で使用する矯正装置のひとつです。1998年にアメリカで開発されて以来、100か国以上に普及し、2020年1月現在で800万人を超える患者さんがこのインビザラインでの矯正治療を受けています。

1-1: 無色透明なマウスピースを使用

ワイヤーを使用するワイヤー矯正とは異なり、インビザラインは「アライナー」と呼ばれる無色透明なマウスピースを使用します。微妙に形状の異なるマウスピースを交換していくことで少しずつ歯を動かし、徐々に歯並びを整えていくのです。アライナーはプラスチック素材でできているので、金属アレルギーを発症する心配はありません。

1-2: 型取りは一度だけ

ほかのマウスピース矯正治療であれば、通院のたびに歯型を取ることになります。従来の歯型取りは、シリコンの大きな塊を口に入れなければならず、嘔吐反射のある方にとってつらいものではないでしょうか。一方、インビザラインの場合、型取りは最初の1回ですみます。また、型取りは「口腔内スキャナー」と呼ばれる機器を使ってお口の中をスキャンするだけなので、従来よりも心身の負担がぐっと減るでしょう。

1-3: 最初にマウスピースをすべて作製

インビザラインは、治療を開始する前に治療期間中に使用するマウスピースをすべて作製するのも大きな特徴のひとつです。インビザラインでは、コンピューターに取り込んだ口腔内のデータから歯の理想の動きをシュミレーションし、そのデータをもとにマウスピースを作製するので、治療期間中に使うマウスピースをすべて一度で作製できるのです。作製するアライナーの数は、個人差もありますがおよそ30~50個となります。

1-4: アライナーは1~2週間ごとに交換

使用するアライナーは、1~2週間ごとに交換します。ワイヤー矯正の場合は歯医者に行って調整してもらう必要がありますが、アライナーは最初からマウスピースを全部受け取れるので、歯科医の指示に従って自分で交換ができます。

2 インビザラインで矯正治療をするメリット

インビザラインを使って矯正治療をするメリットはいろいろありますが、ここでは代表的なものを5つあげてみました。どのようなメリットがあるのか見ていきましょう。

2-1: まわりから矯正治療中であることを気づかれにくい

インビザラインはワイヤーやブラケットを一切使わず、無色透明で目立たないので、だれかと話しているときにまわりから矯正治療中であることを気づかれにくい点がメリットです。審美的にもすぐれているので、特に講師業や司会業、接客業など人前に出るお仕事をされている中で矯正治療をしたい方におすすめです。

2-2: 食事を選ばない

インビザラインは、食事のときには取り外します。ワイヤー矯正の場合は硬いものやブラケットにからみやすい食べ物は避けたほうがよいのですが、インビザラインでの治療では装置を外して食事ができるので、好きなものを選んで食べられます。

2-3: 丸洗いできるので清潔を保てる

ワイヤーとブラケットの矯正装置は、念入りに歯磨きをしても汚れが残りやすい傾向があります。一方、インビザラインのようなマウスピース型の矯正装置は、取り外して丸洗いできるので、清潔が保てる点もメリットです。ただし、食事をしたり酸味や糖分のある飲み物を飲んだときには、歯磨きをしっかりしなければ虫歯になりやすくなってしまうので、注意しましょう。

2-4: 通院回数が少なめ

インビザラインは最初にすべてマウスピースを作製する上に自分で交換ができるので、通院回数が少なくすむのも大きなメリットです。最初のうちは月に1回程度のペースでの通院が必要ですが、徐々に間隔をあけ、2~3か月に1回の通院でよくなります。また、ワイヤー矯正と違って歯科医による調整が不要なので、診療時間も30分程度ですみます。ただし、症状によっては通院の頻度や診療時間は変わります。

2-5: 装置をつけているときの違和感が少ない

インビザラインの厚みは0.5mm程度と非常に薄く、装置をつけているときの違和感が少ないこともメリットのひとつです。最初のうちは話がしにくいこともありますが、ひと月ほどで慣れる方が多いです。ワイヤー矯正装置だと装置が口腔内の粘膜にこすれて傷がついたり、口内炎になったりしがちですが、インビザラインの場合はそういったことが起こることもあまりありません。

3 インビザラインが使えない症例もある

インビザラインは多くの症例に適用できますが、中は適用できない症例もあります。

インビザラインの適用できない代表的な症例は以下のようなものです。

 

  • 重度の叢生(乱ぐい歯)
  • 過蓋咬合(深い噛み合わせ)
  • 開咬(上下の前歯が噛み合わない)
  • 反対咬合(受け口)

 

ただ、最近は治療技術の向上により、これらの症状でもインビザラインで治療可能なケースが増えてきました。これらの症状でお悩みの方は、一度矯正治療を受ける歯科医院でご相談されることをおすすめします。

4 インビザラインを使用する際の6つの注意点

メリットの多いインビザラインですが、使用する際には注意すべき点が6つあります。治療効果が表れにくくなる可能性もありますので、これらの注意事項を守るようにしましょう。

4-1: 1日20時間以上装着しなければならない

インビザラインで矯正治療をする場合、最低1日20時間以上はマウスピースを装着しなければなりません。この時間を厳守しなければ歯がシュミレーションどおりに動かず、治療期間が長引いたり、マウスピースを作製しなおさなければならない可能性があるからです。取り外しが自由にできる点は便利なのですが、その分、次に装着するのをくれぐれも忘れないようにしましょう。

4-2: 食事のときはアライナーを外す

食事をするときはアライナーを外します。アライナーをつけたまま食事をすると、マウスピースが変形したり破損したりする原因となります。また、水分をとるときは水であればアライナーを装着したまま飲んでも構いませんが、コーヒーなどの色の濃い飲み物を飲むときには着色の原因となるので外しましょう。また、酸味のある飲み物、糖分を含む飲み物を飲むときも、虫歯の原因となるため外してから飲むようにします。どうしてもアライナーをつけたまま飲むときはストローを使うとよいでしょう。

4-3: 途中であわなくなってきたら型取りからやり直しが必要

治療期間中、何らかの原因でアライナーが合わなくなってきた場合は、アライナーを作り直さなければなりません。その際は、再度型取りも必要となるので、型取りからやり直しが必要です。最初のアライナーを作製して5年以内は再作製が無償でできるので、アライナーの再作製には費用はかかりませんが、検査費用は別途かかることがあります。

 

ただし、以下の場合は5年以内でも有償になることがありますのでご注意ください。

 

  • 半年以上通院していない
  • 保定期間が短かった
  • メンテナンスが不十分だった
  • 紛失した    など

4-4: 虫歯・歯周病にならないように

矯正治療期間中は、虫歯にならないように注意します。軽度の虫歯であればあまり治療に影響はありませんが、詰め物・被せ物の調整が必要なほどの虫歯になると、歯の形が変わるので、アライナーを作製し直さなければならなくなる可能性があるためです。歯磨きが不十分なままアライナーを装着すると虫歯になりやすいので、飲食をしたあとはデンタルフロスなども使ってしっかり歯磨きをするようにしましょう。

4-5: 抜歯をすることもある

インビザラインは、以前は抜歯の必要な症例には適用できませんでしたが、アライナーの素材が改良されてきたこともあり、抜歯の必要な症例にも適用できるようになりました。そのため、インビザラインを使った矯正治療でも、患者さんの歯の大きさや数、あごの状態により、抜歯をすることがあります。抜歯をしたくない場合でも、歯科医の判断により抜歯せざるを得ないこともありますので、事前に担当医とよく相談しましょう。

4-6: 保定期間が必要

インビザラインによる治療でも、歯並びが整ったあとには、後戻りを防ぐためにリテーナーと呼ばれる保定装置をつける期間(保定期間)が必要です。保定期間の長さは治療期間と同じくらいが目安ですが、お口の中の状態によって変わりますので担当医の指示された期間はリテーナーをつけるようにしましょう。

 

 

インビザラインは審美性にも機能性にもすぐれた治療法ですが、注意事項を守らなければ治療効果がうすれてしまいます。規定時間のアライナーの装着と定期的なメンテナンスを怠らないようにすることが、治療効果を高め、治療期間を短くするコツです。

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