矯正歯科専門WEBメディア「ウィズスマイル」

気になる「口ゴボ」は矯正歯科治療で改善できる??

歯並びはきれいなのに口周りだけがぼこっと膨らんでいたり、前歯が出ているために口が閉じにくくて人知れず悩んでいる方は多いのではないでしょうか。中には、口元を隠すためにマスクが欠かせない方もいらっしゃると思います。

 

そういったお悩みをお持ちの方は、もしかすると「口ゴボ」かもしれません。口ゴボとはどのような症状のものなのでしょうか。また、矯正歯科治療で治るものなのでしょうか。今回は、口ゴボの症状や原因、気になる口ゴボの治療法について解説します。

1 口ゴボとは

口ゴボとは、上下の唇が前に出てしまい、口元がもっこりと膨らんでしまった状態のことをいいます。口を無理やり閉じたときにオトガイに梅干しのようなしわができることが口ゴボの特徴です。鼻とオトガイを直線で結んだ「Eライン(エステティックライン)」に対して、唇が大きく前に出てしまっている状態であれば、「口ゴボ」であると言えるでしょう。

なお、「口ゴボ」は口元がゴボッとしたような見た目からネット上で名付けられた呼び名であり、正式な医学用語ではありません。

1-1: 口ゴボの原因は?

口ゴボの原因は、先天的なもの後天的なものがあります。

 

前者は親からの遺伝も大きいのですが、日本人の体質としてもともと顎が小さい傾向があることも口ゴボの原因と考えられています。

 

後者は、日本人の食事では硬い食べ物を食べる機会が少なく、あごが十分に発達していないことが原因と考えられます。また、口呼吸を続けているうちに、上あごのみが成長して下あごが成長しなかったことも原因のひとつと考えられます。この状態になると上あごの前歯だけが飛び出た状態(アデノイド顔貌)となります。

2 口ゴボによってどんな影響がある?

口ゴボは見た目にコンプレックスを感じてしまいますが、それ以外にも身体全体にさまざまな影響があります。

2-1: 虫歯・歯周病になりやすくなる

口が閉じにくいことによって口の中が常に乾燥した状態になり、唾液の量が減ってしまいます。唾液はお口の中の細菌やウイルスを洗い流す役割を担っているため、唾液の量が減ることによって、細菌やウイルスが流れにくくなって口の中で繁殖しやすくなり、虫歯や歯周病を引き起こす原因になることがあります。

2-2: 風邪やインフルエンザなどにかかりやすくなる

鼻呼吸をしている場合、鼻がフィルターとなって細菌やウイルスをある程度ブロックしてくれます。しかし、口ゴボになると口の開いた時間が長くなって口呼吸になり、そのぶん細菌やウイルスが体内に侵入しやすくなります。口呼吸になると最近やウイルスがそのままフィルたーを通さず体内に入ってくるので、風邪やインフルエンザなどのウイルス性の病気にかかりやすくなるのです。

2-3: 身体のゆがみが出てくる

口ゴボになるとかみ合わせにゆがみがでてきて、身体全体もゆがんでしまいます。そうすると、姿勢が崩れて片方の筋肉が過度に緊張してしまうので、片頭痛や肩こりなどの全身的な症状が出やすくなります。

3 口ゴボの治療法 ―大人(中学生以上)の場合―

口ゴボの治療方法は、大人(中学生以上)の場合と子ども(小学生以下)の場合で異なります。ここではまず、大人(中学生以上)の治療方法について解説します。

 

3-1: ①マウスピース矯正

口ゴボはマウスピース矯正で治せる可能性があります。マウスピース矯正とは、少しずつ形状の異なるマウスピース型矯正装置を使って歯並びを整えていく方法です。

口ゴボの治療には、マウスピース型矯正装置の中でも、比較的幅広い症例に対応できるインビザラインやアソアライナーなどが向いているでしょう。ただし、あごや骨格そのものの矯正が必要なケースや抜歯を伴う治療が必要なケースには対応できないことが多いため、マウスピース矯正をしたい場合は担当医に事前に相談するほうがよいでしょう。

 

マウスピースは、無色透明なので装置をつけていても目立たない点や、食事どきには取り外しできるので食べたいものを自由に食べられる点がメリットです。また、マウスピースはシリコンでできているので、口腔内の粘膜にこすれて痛くなることも少ないでしょう。一方、マウスピースの種類によっては装置を一日20~22時間以上つけていなければ治療効果が出にくいことや、

3-2: ②ワイヤー矯正

ワイヤー矯正とは、細いワイヤーにブラケットと呼ばれる小さなチップを通した矯正装置を使って歯列を整える治療方法です。

 

ワイヤー矯正には、さらに「表側矯正」「裏側(舌側)矯正」の2つの治療方法があります。

 

表側矯正は、歯の表面に装置をつけるので舌への違和感が少ない点や費用が裏側矯正よりも安くすむ点がメリットです。一方、歯の表面にブラケットをつけることになるので、目立ちやすい点がデメリットです。しかし最近は白いワイヤーと白いブラケットでできた装置が出てきていたり、ブラケットの小型化も進んでいるので、以前より目立たなくなってきてはいます。

 

裏側(舌側)矯正は、歯の裏側に装置をつけるのでよほど口を大きく開けなければ目立たない点がメリットです。一方、どうしても舌に装置が当たってしまうので発音がしづらくなる点や費用が表側矯正よりも高額になる点がデメリットです。

 

また、ある程度ワイヤー矯正で歯並びを整えたあと、嚙み合わせを改善するためのマウスピース矯正を行う「ハイブリッド矯正」も可能です。

3-3: ③外科手術

顎や骨格そのものに問題がある場合は、矯正治療と外科手術を併用して口ゴボを治す方法もあります。口ゴボ治療のために行う外科手術は、両サイドにある小臼歯を抜歯したうえで、骨切りをして上下のあごの骨を奥に引っ込めるというものです。

全身麻酔で治療を行うためリスクがある点や入院が必要となることがある点、費用が高額で200万円以上になることがある点がデメリットです。しかし、年単位で時間のかかる矯正治療よりも短期間で口元をキレイにすることができる点がメリットです。

3-4: ④セラミック矯正

セラミック矯正とは、歯を削ったところにセラミック製の歯をかぶせることで歯並びを改善する方法です。上の前歯がねじれて出ているケースや、上下の前歯が前に出ているケースに適用できる方法で、骨格矯正の必要のない軽度~中等度の口ゴボに向いています。

 

従来の矯正治療よりも時間をかけずに歯並びをきれいにすることができ、歯の色や形も理想のものに変えることができます。また、後戻りする心配がないこともセラミック矯正のメリットです。一方、全体の歯並びを矯正するわけではないので奥歯のかみ合わせは変わらないこと、場合によっては大きく歯を削るため、神経を抜かなければならなくなる可能性があることがデメリットです。

4 口ゴボの治療法 ―子どもの場合―

子どもの場合、単に前歯が前に飛び出しているだけのこともあれば、下あごが引っ込んでいるので上あごが出ているように見えることもあります。

4-1: 固定式装置を使う

6歳臼歯を後方へ下げるGMDやペンデュラムなどの固定式の装置やヘッドギアなどの顎外装置を使って矯正をする方法があります。また、上あごの骨格が前に出ている場合は、先述の固定式の装置を使って奥歯を下げるほか、プレートや急速拡大装置などを使ってあごの骨格自体を横に広げることによって歯の並ぶすき間を作って並べます。

4-2: ワイヤー矯正をする

子どもの矯正にも、ワイヤー矯正を使用することがあります。乳歯がまだ残っているうちにワイヤー矯正をすることで、あごの成長を利用しながら歯を並べることができるので、抜歯をして歯の並ぶスペースを作らずに済むことが多いです。また、理想的な形に並べられる可能性も高く、成人のワイヤー矯正よりもリーズナブルな価格で治療を受けられることがメリットです。

4-3: プレオルソで治療する

治療開始年齢がおおむね5~8歳前後であれば、プレオルソという装置を使って治療する方法もあります。プレオルソとは、口周りの筋肉を整えるための子ども用のマウスピース装置のことです。日中1~2時間と就寝中にマウスピースをはめていればよいだけなので、子どもでも取り組みやすいと言えるでしょう。ただし、逆に言えば決められた時間はきちんとつけていなければ効果が出ないので、本人や保護者の協力が不可欠であるとも言えます。

 

4-4: MFT(口腔筋機能療法)を行う

子どもの場合、MFT(口腔筋機能療法)を取り入れることで口ゴボが治るケースもあります。MFT(口腔筋機能療法)とは、口周りのトレーニングをすることで正しい飲み込み方ができるようになったり、口呼吸や舌の悪い癖を改善したりするものです。あごの成長が止まった大人には効果が限定的ですが、成長過程にある子どもには有効な方法です。

 

 

口ゴボは矯正治療でキレイに治せる可能性があります。歯並びや横顔、口元のバランスなどを総合的に評価した上で治療方針を決めることにはなりますが、希望する治療方法がある場合はまず担当医に相談されることをおすすめします。

この記事が気に入ったら
「評価」ボタンを押してください!

★★★★★

評価する

RELATION

関連記事

24時間web予約
pagetop
WEB予約
クリニックを探す