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「八重歯」の矯正治療はどのように行うの?難しいの?抜歯??

八重歯とは、犬歯がほかの歯から外れて生えているために歯が重なっている状態のことをいいます。「笑ったときに八重歯が相手に見えてしまうのが気になる」という方は少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。

 

八重歯は矯正治療できれいに治すことができますが、具体的にどのように治療を進めていくのでしょうか。また、抜歯をする必要はあるのでしょうか。

今回は、八重歯の治療法について、抜いたほうがよいのかどうかとあわせて解説します。

1 八重歯をそのままにしておくとどうなる?

「笑顔を作ったときに八重歯が見えるのがかわいい」という考え方もあるかもしれません。しかし、八重歯はそのままにせず、治療をするのが望ましいと言えます。八重歯をそのままにしておくと、どのような影響があるのでしょうか。

 

1-1: 八重歯になる原因

八重歯ができるのは、永久歯の大きさより顎が小さく、歯の並ぶスペースが取れないときです。永久歯の中で犬歯が一番最後に生えてくるため、本来並ぶべき位置に並ぶことができず、歯列の外にはみだした状態で生えてきてしまうのです。

1-2: 虫歯、歯周病になりやすい

八重歯を放置すると、八重歯の周辺が虫歯や歯周病になりやすくなります。どんなに丁寧に歯磨きをしても、歯の重なっている部分にどうしても磨き残しが生じてしまうためです。磨き残しがたまるとそこから虫歯になったり、細菌が繁殖して歯周病になったりする可能性があるのです。

1-3: 噛み合わせへの影響も

嚙み合わせは、歯ぎしりをしたときに犬歯どうしがかみ合い、奥歯が当たらない状態にするのが理想です。八重歯は歯列の上の方から生えてくるため、下の歯と噛み合いません。そうすると、噛むときに他の歯に負担かかってしまうのです。歯は縦方向の力には強いのですが、横方向の力には弱いという特徴があります。犬歯どうしがかみ合うことによって上下の奥歯が当たらなくなり、奥歯を守ることができるのです。また、かみ合わせが悪いままだと、顎関節症にもなりやすくなるので、気をつけなければなりません。

2 八重歯(犬歯)は抜いたほうがいい?抜かないほうがいい?

八重歯(犬歯)を早く改善するには、八重歯(犬歯)を抜いてしまえば手っ取り早いのではないか、と考える方は多いかもしれません。しかし、八重歯(犬歯)はできれば抜かずに治療をするほうがよいのです。それはなぜでしょうか。

2-1: 八重歯はできるだけ抜かずに治療をするのがベスト

八重歯となる犬歯は、歯根が太くて長く、歯の中でも寿命が比較的長いという特徴があります。高齢になって歯周病などで他の歯は抜け落ちてしまっても犬歯だけは残っていることが多く、犬歯が入れ歯の土台としての役割を果たすこともあるほどです。また、犬歯は食べ物をかんだときに、側方運動に耐えるためのガイドとなるので、歯全体が長持ちします。

2-2: 八重歯を抜いたほうがいいケースとは

できれば抜きたくない八重歯ですが、どうしても抜かざるを得ないケースもあります。それは以下のような場合です。

 

・犬歯自体が虫歯、歯周病になっており、寿命が短いと考えられるケース

・犬歯の位置が極端にずれており、無理に歯列におさめようとすると他の歯に過度な負担がかかる可能性のあるケース

2-3: 抜歯をするなら小臼歯

歯のすき間が14mm以上確保できない場合は、抜歯したうえで歯列矯正をすることになります。歯が十分に並ぶスペースがない場合、抜歯をせず無理に歯列矯正をすると、歯列のバランスが崩れて前歯が前に飛び出してしまい、出っ歯になってしまいます。その上、後戻りもしやすくなります。そのため、歯の並ぶスペースが十分に確保できない場合は抜歯をしたほうがよいのです。

 

ただし、抜歯するのは小臼歯(犬歯の後ろに生えている歯)となることが多いでしょう。小臼歯は犬歯に形が似ており、歯根が短く、小臼歯は左右2本ずつ生えているため1~2本抜いても歯の機能的に大きな影響はないからです。

3 八重歯の治療法

八重歯を治療する方法としては、大きく分けて「マウスピース矯正」「ワイヤー矯正」の2通りがあります。また、ワイヤー矯正はさらに「表側矯正」「裏側矯正」に分かれます。どの治療法も2~3年ほどの時間を要しますので、大事なイベントを控えている場合は、スケジュールから逆算して早めに治療を開始した方がよいでしょう。また、それぞれの治療法にはメリット・デメリットがありますので、担当医とよく相談したうえで比較検討されることをおすすめします。

3-1: まずは診断・治療方針の決定から

どちらの治療方法を選ぶにせよ、まずは検査をして診断し、治療方針を決めるところからスタートします。どのような治療を行うのがベストなのかは、もともとの歯並びや顎骨の状態、顔貌により異なります。

 

まずは歯の並ぶスペースがあるかどうか、横から顔を見たときの口元のバランスはどうかを考えることが必要です。そのため、レントゲンやCTで画像診断をしたうえで治療方針を決定します。歯の並ぶすき間が十分ではない場合は犬歯以外の歯を抜いてすき間を作ったうえで矯正治療を行います。また、もともと鼻やあごより口元が引っ込んでいる場合は、抜歯をすると口元が下がってしまうので、できるだけあごを側方拡大したり、歯と歯のすき間を少し削ってスペースを確保して犬歯を並べるようにします。

3-2: マウスピース矯正

マウスピース矯正とは、少しずつ形状の異なるマウスピースを順番にはめていくことで歯並びを改善する治療方法です。

 

矯正治療に使うマウスピースは無色透明で薄く、審美性にすぐれているので、他人から矯正治療中であることを気づかれにくいことがその特徴です。また、マウスピースはシリコン製でやわらかく、歯を動かすときの痛みや口に入れたときの違和感も比較的少ないと言えます。マウスピースは自分で取り外しが自由にできるので、食事のときも装置を気にせずに楽しむことができる点もマウスピース矯正のメリットです。

 

一方、マウスピース矯正の場合は矯正装置を1日20~22時間以上装着しなければ治療効果が出にくい点がデメリットです。また、マウスピース矯正はマウスピースの種類によっては適応症例が限られてしまいます。たとえば、歯並びのがたつきが大きい場合や、不正咬合などあごの骨自体を矯正しなければならない場合は、マウスピースでの矯正治療が難しいでしょう。

3-3: 表側矯正

ワイヤー矯正とは、ワイヤーにブラケットと呼ばれる小さなチップを通した装置を使って行う矯正治療のことです。

 

そのうちのひとつである表側矯正とは、歯の表面に矯正装置をつける方法です。裏側(舌側)矯正に比べて発音しやすく、舌を痛めることが少ない点や、治療費用が比較的安い点がメリットです。一方、歯の表面に装置をつける分、装置が目立ちやすい点や唇の裏側の粘膜に装置がこすれてケガをしたり口内炎になりやすい点がデメリットです。ただ、装置については白いワイヤーと白いブラケットを組み合わせた装置も選ぶことができるので、審美的な面が気になる方はそういった装置を使うと目立ちにくくなるでしょう。

3-4: 裏側(舌側)矯正

裏側(舌側)矯正とは、歯の裏側に矯正装置(リンガルブラケット)をつける治療方法のことです。外側からは目立ちにくく、装置をつけていることを他人に気づかれにくい点がメリットです。一方、装置が舌にあたり発音がしにくくなる点や、食事のときに装置に食べ物が絡まりやすい点、歯磨きがしづらくなる点がデメリットです。また、表側矯正よりも費用が高額になってしまうのも裏側矯正の難点です。

3-5: 部分矯正では難しい

「八重歯は前歯付近だけの問題なので、部分矯正で治るのでは?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、結論からいえば部分矯正のみでは八重歯を治すのは難しいのが実情です。なぜなら、前歯部分のみに矯正治療をすると歯列全体のバランスが崩れてしまい、嚙み合わせまで変わってしまうことになりかねないからです。八重歯を治療するには、全体矯正治療で行うことをおすすめします。

 

 

八重歯の治療をするときに「抜歯をしたくない」という方もいるかと思いますが、小臼歯の抜歯をすることで歯並びが改善できるケースも多くあります。抜歯の必要性をふくめ、どのような治療方法にするのかは主治医とよく相談して決めるようにしましょう。

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