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「子供」の歯並び矯正!「大人」と子供では治療法は異なるの?

同じ歯列矯正でも、「子供」と「大人」とでは治療の考え方や歯並びへのアプローチの仕方が異なります。体がまだ発育途中にある子供の場合は、大人ではできない治療も可能で、治療による身体的な負担も少なくすみます。

 

今回は子供の歯並び矯正をテーマに、大人の矯正治療との違いやそのメリット、また治療を開始するタイミングの目安などをご紹介していきます。

1.歯列矯正の「子供」「大人」の区切りはいつ?

歯列矯正が「子供」と「大人」で異なるならば、両者の区切りはどこなのか?何歳ごろなのか?と疑問に思う人も少なくないでしょう。実は子供の場合でも、乳歯がすべて永久歯に生え変わる年齢になると、治療方法はほぼ大人と同じになります。つまり永久歯が生えそろう11~12歳以後に治療をはじめた場合、子どもの矯正治療特有のメリットはそれほど受けられないということなります。

 

では子供の矯正治療特有のメリットとは何かといえば、それは「成長を活かした治療ができる」という点です。発育途中にある子供の場合は、その成長を利用して顎の大きさや形を変えることができます。例えば顎が小さく永久歯が正しく並びきれないと予想されるケースでは、顎の大きさを広げて歯を並びやすくします。反対に顎が大きいケースでは、顎の位置を調整したり発育を抑えたりしながら、将来「出っ歯」や「受け口」になるのを防いでいきます。

 

このような成長を活かした治療は「歯並びが悪くなるのを予防する(予防矯正)」という要素が強く、後から人の手を加えるよりも自然で、さらに後戻りも少ないのが特長です。ただ成長を利用できる時期は限られており、遅くとも10歳ごろまでには治療を開始しないと、そのメリットを受けづらくなるでしょう。

2.子供の矯正と大人の矯正の違い

2-1.治療の対象:子供は「骨格」/大人は「歯並び」

成長力を活かせる子供の治療では、歯並びに応じて骨格を整えることが治療の主眼に置かれます。一方で骨格がある程度定まった大人の場合は、限られたスペースの中で歯をいかに並び変えるかが治療のポイントになります。

 

大人の治療が「理想的な歯並びに変えること」を目標とするなら、子供の治療は「理想的な歯並びを作ること」が目標といえるでしょう。

 

2-2.矯正装置:子供は「取り外し式」/大人は「固定式」

成長に応じて顎の大きさや歯の生え方が変化する子供の場合は、ワイヤーやブラケットに代表される固定式の装置は基本的に使わず、子供の矯正で使用する装置の多くは取り外し式で、歯科医の指示の下で一定時間の装着が義務づけられます。

 

大人の場合は、ワイヤー等を利用した固定式の他、最近では取り外し式の「マウスピース矯正」もあります。

2-3.治療の主体:子供は「親」/大人は「本人」

子供の矯正の場合「治療を受けるか・受けないか」という判断は親によって決定されるのがほとんどです。そのため治療を受ける本人(子供)の協力が得られにくいケースも多く、治療が予定通りに進まないこともめずらしくありません。一方の大人の場合は治療を受ける本人が主体となるためモチベーションも高く、治療をスムーズに進めやすくなります。

 

3.子供から矯正治療をはじめるメリット

3-1.体の発育や発音が良好になる

歯並びは「見た目の良さ」ばかりに目が向きがちですが、子供の場合は、心身の発育にも歯並びが大きな影響を与えていきます。とくに「しっかり噛めるか」という点は子供の健康状態を左右しやすく、噛み合わせがよくしっかり噛める子供ほど栄養バランスが良く、体も丈夫に育ちます。また歯並びには“発音を助ける”という側面もあり、整った歯並びは発音をきれいにし、他者とのコミュニケーションも良好にします。

 

3-2.「顔立ち」が整う

子供の矯正治療の最も大きな特長は「骨格」の改善が図れることです。骨がまだ軟らかく、さらに成長も見込める子供の場合は、早い段階で専門家による治療を受けておけば、顎の大きさや位置、左右のバランスなどを整えることができます。いわゆる「かわいい顔立ち」「かっこいい顔立ち」を作れるのが子供の矯正治療のメリットです。

3-3.大人になっても虫歯・歯周病になりにくい

矯正治療には「虫歯や歯周病になりにくい口内環境を作る」というメリットもあります。子供のうちに歯並びを整えておけば、親の手が離れてからも自身で管理がしやすく、将来にわたる虫歯・歯周病のリスク軽減につながります。

3-4.“コンプレックス”で悩まなくてすむ

歯並びによるコンプレックスは、思春期以降から強くなりはじめます。周囲の心ない言葉で傷ついたり、口元が気になってうまく笑えなかったりするのは大人も子供も同じです。子供の歯並び治療は多感な時期の心の成長にも、よい効果をもたらしてくれるでしょう。

 

4.子供の矯正治療 開始のタイミングは?

4-1.「受け口」「顎のズレ」は3~5歳ごろ

子供の矯正治療が必要か否かを判断する最初のタイミングは、乳歯がすべて生えそろう3歳前後になります。この時期に注意したいポイントは、“受け口”と“顎のズレ”です。

 

「下の前歯が上の前歯よりも前方にある」あるいは「下の顎が左右にずれている」「顔貌が非対称」といったケースの中には、早い時期に対処が必要なものもあります。とくに3歳児検診で歯並びについて指摘された場合は、早めの受診が必要です。このようなケースは3~5歳ごろに適切な処置を行うと顎の形や位置を改善できる場合も多いため、気になる場合は迷わず歯科医院で相談してみましょう。

 

なおこの時期の乳歯の歯並び(歯並びのガタガタ、すき間など)については、今後の成長で変わる可能性が高いため、それほど神経質になる必要はありません。永久歯が生えはじめる6歳ごろまで様子をみましょう。

4-2.「歯並びのガタガタ」「出っ歯」は6~8歳ごろ

次に矯正治療を開始するタイミングは6歳前後、前歯の乳歯が永久歯に生え変わり、奥には「6歳臼歯」と呼ばれる永久歯が生えてくる時期です。この時期に前歯の歯並びの「ガタツキ」や「出っ歯」などが気になる場合は、矯正歯科を受診し治療の可否について相談しましょう。

 

子供の矯正治療は「第1期治療」と「第2期治療」の2段階にわけて行なわれます。6~10歳ごろを対象にした「第1期治療」は骨の成長を活かした治療が可能で、治療がうまく進めば永久歯を抜歯せずに歯並びを整えることができます。

 

「第2期治療」は乳歯がすべて永久歯に生え変わる11歳以降を対象にした治療で、大人の矯正と同じくブラケットとワイヤーを装着し、第1期治療の仕上げを行います。またケースによっては第1期治療のみで終了する場合もあります。

4-3.「指しゃぶり」「口呼吸」が長引く時も早めに相談する

子供の歯並びは遺伝的な要因だけでなく、習癖(クセ)にも強い影響を受けます。歯並びに悪い影響を与える習癖は「悪習癖」と呼ばれ、早い段階で改善しておかないと歯並びの乱れを生じさせる原因になるため注意は必要です。

 

具体的な習癖には「指しゃぶり」「爪を噛む」「唇を噛む」「舌を前に突き出す」「いつも口をポカンと開けている(口呼吸)」などが挙げられます。このようなクセが3歳ごろまで長引くようであれば歯科医院を受診し、早期の改善を図っていきましょう。

4-4.3歳を過ぎたら、定期的に専門家のチェックを受ける

以上に記した治療開始のタイミング時期は、あくまで一般的な目安に過ぎません。同じ年に生まれた子供でも成長のスピードは千差万別で、治療をはじめるのに最適な時期も個々の子供によって異なります。

 

子供の歯並びについては乳歯が生えそろう3歳前後を目処に、定期的に歯科医院で歯並びの状態をチェックしてもらうのがおすすめです。専門的な視点から歯並びを経過観察していけば、もし歯並びに異常がみられた場合にも適切なタイミングで治療が開始できるでしょう。

 

5.まとめ

大人の矯正治療とくらべ、成長力を利用できる子供の矯正治療はそのメリットも大きく、早い段階で対処しておくほうが得策といえます。ただし子供の治療では家庭での管理が不可欠で、治療に際しては保護者側にもそれなりの覚悟が必要です。治療開始のタイミングや方法については、子供の歯並びの状態や成長具合によって異なるため、3歳を過ぎたあたりから定期的な専門家によるチェックを受けておきましょう。

 

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