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拡大床(拡大装置)はどんな矯正治療に有効?装着方法やお手入れ方法を紹介

矯正治療をする際に、拡大床(かくだいしょうー拡大装置とも呼ばれる)の使用を勧められることがあります。

一般的なワイヤー矯正装置やマウスピース装置と比べ、聞きなれない名前の装置のため、一体どんなものだろうかと思う人も多いでしょう。

特に乳歯と永久歯が混在している時期の子どもの一期治療に、用いられることが多い装置です。

 

具体的にどのような装置なのか、また装着方法やお手入れ方法などを見ていきましょう。

1. 拡大床は歯列を整えるスペースを作る装置

1-1. 歯を並べるスペースを広げる

拡大床は、直接歯を動かして矯正するのではなく、まず歯が並ぶスペース(床)の幅を広げるために用いられる装置です。

主に永久歯が生え揃う前の6歳~11歳くらいの成長期の子どもに使われます。

 

この成長期に拡大床を使った治療を行うことで、将来、歯を並べるスペース不足や、上顎と下顎の位置不調和による抜歯治療などのリスクを下げられると言われています。

 

成長期は歯を支える骨も成長する時期。

その時期に合わせて、少しずつ歯が並ぶスペースを広げて整えてあげます。

 

また、内側に生えてしまった歯を前へ押し出す矯正も、拡大床で可能です。

しかし、デコボコに並んでいる歯並びや、出っ歯などを矯正することはできません。

きれいな歯列へと矯正するには、ワイヤー治療などが必要です。

1-2. 取り外しが可能な矯正装置

拡大床は取り外しが可能な、可撤式(かてつしき)矯正装置です。

常に歯に装置をつけていると、特に小さい子どもは違和感で嫌がることもありますし、食事や歯磨きがしづらいという場合もあります。

しかし、取り外しができる拡大床は、就寝時をメインに装着し、それ以外の場面での生活スタイルは変える必要がないものです。

お手入れも取り外して洗えるので、衛生的に保つことができます。

 

しかし、紛失や破損には注意が必要です。

また、拡大床は装着していなければ、矯正治療が進められません。

医師の治療計画に従い、忘れずに装着し、治療していきましょう。

1-3. 拡大床を勧められるのはどんな場合?

拡大床での治療を勧められるのは、6~11歳ごろの成長期の子どものうち、このまま永久歯に生え変わっても、歯列の並ぶスペースが狭いと予想される場合です。

ただし、拡大床を使用すれば必ず、スペースが広がるというわけではないので、担当医に経過観察をしっかりと行ってもらう必要があります。

 

また、歯並び自体は本格的に矯正することはできないので、他の矯正治療と併用することもあります。

1-4. 拡大床の作り方

拡大床はペースト状の石膏で型取りをされることが多いです。

どろっとした石膏を、ぐっと歯に押し付けるため、苦手な子どももいます。

特に嘔吐反射がある子にはつらいかもしれませんが、リラックスすることと、鼻呼吸を促してあげましょう。

2. 拡大床の使用方法

2-1. 装着方法

拡大床の装着方法は簡単で、子どもでも慣れると取り付けることができます。

 

まず、装置が歯の位置に合うところまで拡大床を入れます。

歯の形に合わせたら、プラスティック部分を指で押し、装置ががたつかなくなるまで、しっかり前後、左右押してはめ込みます。

はまった時に音がすることもあります。

 

プラスティック部分ではなく、ワイヤー部分を押したり、歯で噛んで押したり、舌で押し込んだりするのはNG。

装置が損傷したり、外れてしまう原因になります。

 

拡大床を外す時は、奥歯にかかっているワイヤーを両手で外します。

前歯にかかっているワイヤーを引っ張ったり、片手だけで外したりすると、ワイヤーがゆがんでしまう可能性があるので止めましょう。

2-2. 装着時間

拡大床を装着する1日の目安の時間は、医師から指示があります。

就寝時、テレビを見ている時間など、工夫して目安の装着時間を満たすようにしましょう。

 

ただし、装着したまま食事や歯磨きをするのはNG。

また、装着していると、しゃべりにくいと感じる場合もあるので、学校や習い事などの時間は避けるといいでしょう。

 

1日のうち、毎日決めた時間に装着すると、装着し忘れを防ぐことができます。

2-3. 数週間に一度ねじを巻く

拡大床はねじを巻くことで、幅を広げられます。

装置自体の少しずつ幅を広げ、それを装着することで、骨の成長を促し、歯列スペースを広げるのです。

 

巻く頻度は、2週間に一度、3週間に一度など、医師から指示があります。

ねじ巻きは家庭で行うことも多いので、巻き忘れに注意しましょう。

忘れないよう、カレンダーに日付を書き込み、巻いたらチェックしておくと安心です。

 

拡大床には90度に1つ、小さな穴が開いています。

この穴にキー(ねじを巻く棒)を差し込み、ねじを巻きます。

ねじを巻く方向は、拡大床に矢印が書かれているので、その方向に巻きましょう。

巻いた後、装置が合わない、装着すると痛みを感じた場合には、矢印の反対方向へ巻くことで、幅を戻すこともできます。

 

装置が合っているのか心配な場合は、歯科医院に連絡し、見てもらうといいでしょう。

3. 拡大床のお手入れ方法

3-1. 基本の洗い方

拡大床は口の中に装着するものなので、毎日のお手入れできれいに保っておくこと大切です。

 

基本的には、歯ブラシの毛先を使い、水ですすぎながら洗います。

この時、歯磨き粉を使うのはNG。

研磨剤により、拡大床が傷ついていまいます。

 

拡大床の汚れがつきやすいのは以下のようなところです。

3-1-1. プラスティック部分

プラスティック部分には、細菌が繁殖しやすく、外して時間が経つと臭いのもとになります。

汚れをこすり落としましょう。

3-1-2. ねじ部分

ねじ部分はデコボコしているため、汚れが溜まりやすいです。

歯ブラシの毛先を使い、穴の中の汚れも掻き出すように磨いてください。

 

汚れが残ると、ねじが巻けなくなり、修理が必要になります。

必ず丁寧にお手入れしてください。

3-2. 洗浄液を使う

拡大床など、可撤式の矯正装置やリテーナー専用の洗浄液もあります。

歯科医院や薬局で購入できるので、必要であれば使いましょう。

 

ただし、洗浄液に入れておくだけで、細かい汚れがとれるわけではありません。

基本のお手入れの補助的目的で使いましょう。

3-3. お手入れ時の注意点

拡大床は外した後すぐにお手入れするのが好ましいですが、事情があって外出先で外し、すぐに洗えない場合もあるでしょう。

そんな時は一旦ケースに入れ、帰ってから拡大床とケースを丁寧に洗いましょう。

 

また、普段から洗った後はケースに必ず保管してください。

ティッシュにくるんで置いておくと、間違えて捨ててしまった、踏んでしまったなど、紛失や損傷の原因になりかねません。

4. まとめ

拡大床は主に成長期の子どもに矯正治療に使われる装置です。

歯の並ぶスペースを広げ、将来歯列矯正治療が必要となった場合も、抜歯治療などの大掛かりな治療を避け、治療の負担を軽減できるかもしれません。

子どもが拡大床を勧められた際には、スムーズに治療を進めるため、どのような装置なのかを知るとともに、使用方法やお手入れ方法をしっかりと把握しておきましょう。

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