「歯列矯正をしようと思っているが、どの方法を選んだらいいの?」「自分に合った矯正方法は何?」「費用相場がわからないから不安……」
本記事では、これから矯正治療を検討しようとしているみなさんのために、多くの歯科医院で採用されている「マウスピース矯正(表側矯正)治療」「裏側矯正(舌側矯正)治療」「マウスピース矯正治療」の3つについて詳しく解説してきます。
メリットやデメリット、費用相場や治療期間の目安をご紹介しますので、ぜひご一読ください。
目次
(1)ワイヤー矯正治療とは?
ワイヤー矯正治療の概要 | |
メリット | ・どのような歯列にも対応できる
・細かい調整が利く ・取り外し不要で手間いらず ・矯正にかかる時間が速い ・比較的リーズナブル
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デメリット | ・矯正中にしばしば痛みを伴うことがある
・矯正器具が目立つ ・矯正器具のメンテナンスがやや大変 ・食事に制限がある
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おすすめできる人 | ・矯正治療をできるかぎり安く抑えたい
・矯正器具が目立つことに懸念はない ・子どものうちから矯正を行いたい ・治療を早く終わらせたい ・歯並びが悪く、他の矯正方法では無理だと言われた
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費用相場 | 50~100万円程度
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治療期間の目安 | 1~3年
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ワイヤー矯正は、世界中の歯科医師たちに支持されているもっともポピュラーな矯正治療方法です。症例数も非常に多いため、幅広いケースに柔軟に対応できるのが最大のメリットといえます。
いわゆる「ブラケット」と呼ばれるワイヤーでつながれた矯正器具を歯の表面に装着し、動かしたい方向に力を加えることで歯列を正していきます。このことから、しばしばワイヤー矯正は「表側矯正」と言うこともあります。
(1-1)ワイヤー矯正治療のメリット・デメリット
【メリット①】どのような歯列にも対応できる
数えきれないほどの治療実績を持つのが、ワイヤー矯正の最大の強みといえるでしょう。
歯列の状態は人それぞれで、場合によっては自分の臨む矯正方法を採用できない可能性がありますが、ワイヤー矯正なら、たいていの歯列に対応することができます。
【メリット②】細かい調整が利く
歯の表側に器具を装着するため、ワイヤーの力加減を調整しやすいというのもメリットのひとつ。
歯列の状態によっては、細かい調整をしながら矯正治療を進める必要があり、他の矯正治療ではそれを実現するのが難しい場合があります。確かな矯正効果を期待できるという点では、ワイヤー矯正治療が有効です。
【メリット③】取り外し不要で手間いらず
ワイヤー矯正治療は、一度器具を装着すれば、よほどのことがないかぎり取り外すことはありません。お手入れは矯正器具を付けたままブラッシングすればOKですので、いちいち取り外す手間も不要です。
【メリット④】矯正にかかる時間が速い
ワイヤー矯正治療は、後述する「マウスピース矯正治療」に比べて歯列の移動速度が速いため、「矯正にあまり時間をかけたくない」「すぐに効果を実感したい」という方にぴったりです。
【メリット⑤】比較的リーズナブル
歯列の状態にもよりますが、数ある矯正治療の中でも、ワイヤー矯正治療(表側)は費用が安くなりやすいといわれています。矯正方法にとくにこだわりがないのであれば、リーズナブルなワイヤー矯正治療がおすすめです。
【デメリット①】矯正中にしばしば痛みを伴うことがある
矯正器具を装着したての頃は、歯列にかかるワイヤーの力を不愉快に感じることがあります。またそれだけでなく、しばしば矯正器具が唇や頬の裏に当たって痛むことも珍しくはありません。
【デメリット②】矯正器具が目立つ
歯の表側に器具を装着するだけあって、人前で目立ちやすいのが難点です。「矯正していることを周囲に知られたくない」「接客業だから器具を付けられない」という方にはかなりのデメリットだといえるでしょう。
【デメリット③】矯正器具のメンテナンスがやや大変
自分ではうまくメンテナンスができていると思っていても、矯正器具に食べかすが詰まってしまうこともあります。
とはいえ、矯正器具を清潔に保ちたいなら、定期的に歯科医院に通ってメンテナンスをしてもらえば、とくに問題はないでしょう。
【デメリット④】食事に制限がある
ガム、キャラメル、肉、硬いせんべいなど……矯正器具の固定を安定的に保つために、食事に制限をかけられることになります。食べることが好きな方にとっては、数年にも及ぶ矯正治療期間は大きなストレスを感じてしまう場合があるかもしれません。
(1-2)ワイヤー矯正治療をおすすめできる人
・矯正治療をできるかぎり安く抑えたい
・矯正器具が目立つことに懸念はない
・子どものうちから矯正を行いたい
・治療を早く終わらせたい
・歯並びが悪く、他の矯正方法では無理だと言われた
(1-3)費用相場や治療期間は?
費用相場 | 50~100万円程度
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治療期間の目安 | 1~3年
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(2)裏側矯正治療とは?
裏側矯正治療の概要 | |
メリット | ・周囲に知られにくい
・前歯を後方移動させやすい ・矯正器具の清潔を保ちやすい ・運動やスポーツでケガをしにくい
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デメリット | ・料金が高くなりがち
・発音がしにくくなる ・求められる矯正技術が高い ・矯正期間が長引く可能性がある
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おすすめできる人 | ・人前で目立ちたくない
・多少費用が高くなってもいい ・前歯の矯正を望んでいる ・日常的にスポーツをしている ・食べ物の制限をかけられたくない
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費用相場 | 100~150万円程度
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治療期間の目安 | 1~3年
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裏側矯正治療は、ワイヤー型の矯正器具を歯の裏側に装着する方法です。しばしば「舌側矯正」とも呼ばれています。
矯正器具を歯の裏側に装着するわけですから、この矯正治療方法は「人前で目立たない」という点が最大の特徴だといえます。
(2-1)裏側矯正治療のメリット・デメリット
【メリット①】周囲に知られにくい
「子どもが思春期で矯正器具の装着を嫌がる」「接客業のため表側矯正ができない」「周囲に知られずに矯正を行いたい」
このようなお悩みやご要望をお持ちなら、裏側矯正治療を検討する価値が十分にあるといえるでしょう。
【メリット②】前歯を後方移動させやすい
裏側矯正治療は、表側矯正治療よりも前歯の後方移動が得意だといわれています。「前歯を奥に引っ込めたい」という理由で矯正治療を考えているなら、表側矯正よりも裏側矯正をおすすめします。
【メリット③】矯正器具の清潔を保ちやすい
ワイヤー矯正治療(表側矯正)は「食べかすが詰まりやすい」というデメリットを抱えていますが、歯の裏側に器具を装着する裏側矯正治療は、唾液で汚れを洗い落とすことができるため、虫歯や歯周病になるリスクが比較的低いといわれています。
【メリット④】運動やスポーツでケガをしにくい
歯の表側に器具を装着していると、運動やスポーツでしばしば危険が伴います。万が一ボールが口元に当たってしまったら、大変な事態になりかねません。
しかし裏側矯正は、激しい運動を行っても、唇や頬の裏を直接傷つけるようなリスクが少ないため、安心です。球技などの激しい運動を普段から行っている方や、遊び盛りのお子様に矯正をしようと検討しているご両親には、ぜひ裏側矯正をおすすめしたいと思います。
【メリット⑤】食事制限が実質的にない
ワイヤー矯正治療とは異なり、裏側矯正治療では、食べ物に制限がありません。「〇〇を食べてはいけない」といった制約がかけられることにストレスを感じる方は、裏側矯正治療のほうがおすすめです。
【デメリット①】料金が高くなりがち
ワイヤー矯正治療(表側矯正)に比べると、裏側矯正にかかる費用が高くなる傾向にあります。コストの面では多少なりともデメリットがありますので、あらかじめご注意ください。
【デメリット②】発音がしにくくなることも
歯の裏側に矯正器具を装着するため、舌が器具に当たって発音がうまくいかないことがあります。人前で喋る機会の多い方や、綺麗な発音が求められる職業に就いている方には、裏側矯正があまり向かないかもしれません。
【デメリット③】求められる矯正技術が高い
ワイヤー矯正治療は、矯正器具の力加減を細かく調整できるため、たいていは思い通りの矯正を行うことができます。
しかし裏側矯正は「表側矯正よりも難しい」といわれており、歯列の状態や矯正を担当する歯科医師の技術によって効果が左右されてしまいます。
【デメリット④】矯正期間が長引く可能性がある
矯正技術の難易度が高いということにも関係していますが、ワイヤー矯正治療よりも裏側矯正治療の方が期間が長くなりやすいといわれています。
(2-2)裏側矯正治療をおすすめできる人
・人前で目立ちたくない
・多少費用が高くなってもいい
・前歯の矯正を望んでいる
・日常的にスポーツをしている
・食べ物の制限をかけられたくない
(2-3)費用相場や治療期間は?
費用相場 | 100~150万円程度
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治療期間の目安 | 1~3年 |
(3)マウスピース矯正治療とは?
マウスピース矯正治療の概要 | |
メリット | ・目立たず装着の不快感がない
・食べ物の制限や矯正器具のトラブルがない ・着脱が自由でメンテナンスが楽々
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デメリット | ・装着時間は厳守
・歯列によっては適用できないことも
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おすすめできる人 | ・職業柄、ワイヤータイプの矯正器具を使えない
・TPOに合わせて矯正器具を取り外したい ・痛くない矯正がいい ・スポーツを日常的にしている
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費用相場 | 80~100万円程度
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治療期間の目安 | 1~3年 |
「人前で目立ちたくない」「ゴツゴツとした矯正器具を口の中に入れたくない」「食べ物の制限が嫌」といったご要望をお持ちの方には、マウスピース矯正治療がおすすめです。
マウスピース矯正治療は、透明なマウスピースを装着する矯正方法。マウスピースの着脱が容易であるため、取り外して食事を楽しむことも可能です。
(3-1)マウスピース矯正治療のメリット・デメリット
【メリット①】目立たず装着の不快感がない
ワイヤー矯正・裏側矯正治療のどちらも、矯正器具を口の中に入れる不快感や痛みはどうしても避けられないものです。
しかし透明なプラスチック製のマウスピースなら、装着の違和感をほとんど感じることなく日常生活を送ることができるでしょう。
【メリット②】食べ物の制限や矯正器具のトラブルがない
ワイヤー矯正治療は食べ物の制限がありますし、裏側矯正治療は器具が外れてしまうトラブルがしばしば起こります。
しかしマウスピースなら、それらの制限やトラブルなく矯正治療を進めることが可能です。ようするにマウスピース矯正治療は、ワイヤー・裏側矯正治療のいいところをうまく取り合わせた方法なのです。
【メリット③】着脱が自由でメンテナンスが楽々
マウスピースは取り外しが簡単ですので、いつでも汚れを洗い落として清潔を保つことができます。「矯正器具を付けっぱなしにするのが苦手」という方にはかなりおすすめです。
【デメリット①】装着時間は厳守
マウスピースは着脱自由ですが、矯正効果を確かなものにするため、装着していなければならない時間は長く設定されています。だいたい「1日20時間以上」が一般的です。そう考えると、マウスピースを取り外していられる時間はかなり限られているといえるでしょう。
【デメリット②】歯列によっては適用できないことも
歯列が悪い方や、抜歯をして歯並びを変えなければならない方などは、マウスピース矯正治療を適用できない可能性が高いので注意が必要です。
(3-2)マウスピース矯正治療をおすすめできる人
・職業柄、ワイヤータイプの矯正器具を使えない
・TPOに合わせて矯正器具を取り外したい
・痛くない矯正がいい
・スポーツを日常的にしている
(3-3)費用相場や治療期間は?
費用相場 | 80~100万円程度
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治療期間の目安 | 1~3年 |
(4)まとめ
ワイヤー矯正(表側矯正)・裏側矯正・マウスピース矯正治療は、それぞれにメリットやデメリットがあり、費用の面でも違いがあります。
矯正治療はけっして短期間では終わりません。矯正後は移動した歯列を留めておくための「保定」も必要ですから、長い目でみて矯正器具と生活を共にできるかどうかが重要です。
どれを選ぶべきかは、みなさんごが矯正治療で何を求めるのかによってさまざまです。本記事をぜひ参考にしながら、自分に合った最適な矯正方法を検討してみてくださいね。