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管楽器を演奏する人にとっての歯列矯正治療

管楽器を演奏する人にとって口は楽器の一部といえます。

管楽器を吹き続けると指しゃぶりの習慣と同じで、歯並びが悪くなる可能性があるといわれています。

子どもの頃から演奏を続けてきた人にもあてはまるかもしれません。

 

乱れた歯並びを整えるために歯列矯正治療をしたくても、つねに口を使う管楽器の演奏に支障があるかどうかも気になるポイントでしょう。

この記事では、歯並びが管楽器の演奏にあたえる影響や管楽器奏者に向いている歯列矯正治療などについて解説します。

1 管楽器の演奏と歯並びの関係

サックス、クラリネット、オーボエ、トランペットなど、管楽器にはいくつかの種類があります。

それぞれの楽器によって、楽器にあてる唇の形(アンブシュア)は異なりますが、歯に楽器があたることから歯並びを変えてしまう可能性があります。

 

管楽器の演奏が歯並びにあたえる影響、また生まれつきの歯並びの乱れが演奏をしにくくするかどうかについて説明します。

1-1 管楽器の演奏で歯並びが変わる?

幼いころの指しゃぶりの習慣が続くと、上の歯が出っ歯になってしまうことはよく知られています。

指しゃぶりと同じように、まだ歯並びが安定しない時期から管楽器を始めると歯並びに影響することがあります。

 

管楽器奏者は、口のなかや周りの筋肉を楽器にあわせて変えながら演奏します。

歯の役割は、マウスピースに触れたり、唇の裏から支えたりすることです。

サックスやクラリネットのようにマウスピースを噛む楽器で、あらわれる症状は、上顎前突(出っ歯)や開咬(前歯が噛み合わない)です。

 

トランペットやフルートのような楽器の場合は、歯並びに影響はありません。

息を吐くだけでも歯に力はかかりますが、口をしっかり閉じることで影響を避けられます。

1-2 歯並びが乱れていると管楽器がうまく演奏できない?

歯をふくむ口も管楽器の一部なので、歯並びに乱れがあれば筋肉のバランスが悪くなり楽器を吹きにくくなることがあります。

また、歯列不正によって起きるのが、筋肉の過度な緊張や唇の圧迫、息の漏れです。

口唇が傷ついたり、口の周りの筋肉が疲れやすくなったりする原因になります。

 

極端な出っ歯や受け口だと演奏に影響が出ます。

管楽器は前歯が立っているほうが演奏しやすいため、前歯に傾斜があれば不利になります。

 

前歯が立っている人は一般的に口唇周囲の筋肉が強いため、マウスピースを均一にあてられて、下顎のコントロールがスムーズです。

犬歯の出っ張りがある人は、逆に前歯が立っていることが多いため演奏には問題がないといわれています。

 

「管楽器をやりたい!」と思っても歯並びの乱れでうまく演奏できないのは、残念なことです。

せっかくの音楽の才能が埋もれてしまう可能性もあります。

 

・上顎の前歯の傾斜が演奏に影響する管楽器

カップ型マウスピースのトランペットやトロンボーンなどの金管楽器では、前歯の傾斜が影響します。

また、リードがあるクラリネットやオーボエでは、唇を巻き込みながら演奏するため、前歯が乱れていると唇が痛くなる可能性があるでしょう。

 

・下顎前歯の叢生が演奏に影響する管楽器

下顎の前歯の歯並びが乱れている「叢生」の場合は、木管楽器を演奏するとリードと前歯に挟まれた口唇が傷つくことがあります。

気になる前歯の叢生を歯列矯正治療で、きれいな歯並びにすれば管楽器を今まで以上に楽しめるはずです。

2 管楽器奏者に向いている歯列矯正治療 とは?

管楽器をうまく演奏するために、上顎前突(出っ歯)や下顎の叢生を矯正治療する場合に向いている治療方法を選びたいものです。

また、歯並びが悪く奥歯がきちんと噛み合わないなどの理由で、歯列矯正をおこなったほうがいい管楽器奏者も、どのような治療方法がいいのか気になるポイントでしょう。

 

矯正治療の器具が演奏にあたえる影響と、楽器演奏の妨げになりにくい治療方法を紹介します。

 

2-1 ブラケットを用いる表側矯正は演奏に向いていない?

歯の表側にブラケットやワイヤーを装着する表側矯正は楽器によって、演奏への影響が異なりますので注意が必要です。

クラリネットやサックスなどの木管楽器の演奏にはブラケットを使う矯正治療の影響は少なく数週間で慣れますが、唇に痛みがあります。

 

しかし、トランペットやトロンボーンなど金管楽器の演奏時、マウスピースを唇に押しつけるため、ブラケット装着直後は高音を出しづらくなり支障が出る可能性があります。

適応するのに数カ月かかるでしょう。

 

痛みが強い場合は、矯正用のワックス(歯科矯正用粘膜保護剤)を使用して痛みを軽減できます。

フルートは装置によって、下唇が前歯の上を滑らかに動きにくくなり微妙な調整がむつかしくなるかもしれません。

 

・矯正治療を開始する時期と期間

いずれの楽器でも矯正治療中も演奏はできますが、慣れるまでは演奏しづらいと感じる人もいます。

とくに上級者は、演奏するときのカタチができあがっているので、口唇の変化によって音を出しにくいと感じることが多いでしょう。

慣れるまで早くてもひと月くらいかかるため、演奏会やコンクールなどの直前に矯正治療を開始するのは避けましょう。

 

サックスやクラリネット、オーボエなどのリードを使う木管楽器はリードを噛むため、演奏はできても矯正治療のほうに影響が出ることが考えられます。

管楽器を演奏しない人よりも治療期間が長引くかもしれません。

ですが、歯列矯正の治療の進み方は、歯の動きに個人差があるため誰もが同じペースで進むものではありません。

 

大好きな管楽器の演奏もふくめ、長い人生をより楽しめるように、時期や治療方法を選択することが大切です。

2-2 管楽器の演奏を妨げないマウスピース矯正

ブラケットを使う矯正治療は、少なからず演奏しにくくなり、演奏が治療の進行に影響をあたえます。

管楽器の演奏に慣れるまで時間がかかり、ブラケットが唇にあたって痛みがある場合があるでしょう。

 

演奏のことだけを重視するならば、できるだけ小さい装置や取りはずし可能な装置が望ましいでしょう。

取りはずしのできるマウスピース矯正は管楽器を演奏する人に向いている治療方法です。

 

・マウスピースは取りはずしができる

マウスピース矯正は、取りはずしが可能な装置を用います。

自分で取りはずせるため、演奏に支障なく治療できます。

装置は透明に近いため、ふだんの生活でも目立ちにくいのが大きな特徴です。

 

・マウスピース矯正は痛みが少なく衛生的

口のなかを傷つけにくく快適な装着感で痛みがほとんどありません。

マウスピースを装着したとき、最初は締めつけられるような違和感がありますが、数時間で慣れます。

歯磨きも取りはずしてできるので、衛生的です。

2-3 裏側矯正と表側矯正の組み合わせ

裏側矯正は、表側矯正よりも唇への影響が小さくなりますが、逆に舌への影響が考えられます。

管楽器の演奏に必要なタンギング(舌の動きで音を切る)という技法がしにくいと感じる可能性があります。

 

シングルリード楽器の場合、上顎に表側装置、下顎に裏側装置をつけるという、一般的にはあまり選ばれない組み合わせもありえます。

2-4 短期間でできる部分矯正

前歯の歯並びだけをきれいにしたい場合は、部分矯正を選択すれば短期間で治療可能です。

早ければ3カ月ほどで終わることもあるため、治療中だけ演奏を控えても問題が少ない奏者におすすめします。

治療期間が短いため、ほかの治療方法よりも費用が安いのも特徴です。

ブラケットを用いる矯正とマウスピース治療、どちらでも対応できます。

まとめ 管楽器を楽しみながら歯並びを整える

管楽器の演奏は歯並びに影響をあたえ、また歯並びが演奏に影響するのは、口が楽器の一部だからですね。

ほかの楽器演奏者にはない管楽器奏者ならではの悩みもそこにあります。

管楽器奏者に一番向いている治療方法は「マウスピース矯正」です。

すでに演奏している人だけでなく、これから管楽器を始めたい人も、食事を楽しみ、見た目を美しくするために歯並びを整えましょう。

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