「矯正しています!」と言わなくてもわかるギラギラした装置の見た目が嫌で、矯正治療を避けている方もいると思います。
現在では、見た目が目立たない矯正方法があって、快適に矯正生活を送ることができるようになっています。
今回は、他人に知られずに矯正ができる「3つの治療法」について解説していきます。
見た目が目立たない方法で矯正をしたい方は、是非この記事を参考にして下さい。
目次
1 目立ちにくい「3つの矯正方法」
目立ちにくい矯正方法は次の3つです。
・ワイヤー矯正(クリアブラケット・セラミックブラケット)
・リンガル矯正
・マウスピース矯正
それぞれの治療法について紹介していきます。
1-1:ワイヤー矯正(クリアブラケット・セラミックブラケット)
ワイヤー矯正は、金属のワイヤーとブラケット(ワイヤーを固定するために歯の中心に取り付ける装置)を使用するのが一般的だったので、見た目が目立ちやすいです。
しかし最近では、金属を使用しないワイヤー矯正の治療法が主流になっています。
使用する装置のブラケットを透明なプラスチックにしたり、セラミックを使ったりすることで、歯の表側に取り付けても目立ちにくくなるのです。
また、ブラケットに固定するワイヤーをホワイトワイヤーにすることで、さらに見た目が改善します。
1-2:リンガル矯正
リンガル矯正とは、金属のワイヤー装置を歯の裏側に取り付けて、歯並びを綺麗にする方法です。
矯正装置を歯の裏側に装着するため、他人から矯正をしているのが、ほとんどわかりません。
1-3:マウスピース矯正
マウスピース矯正は、透明なプラスチックの型を歯にはめて、歯並びを整える治療法です。
一般的な治療の流れは、次の通りです。
・まず最終的な歯並びを専用の機械でシミュレーションする。
・シミュレーションの結果を元に、治療開始から最終的な歯並びまでのマウスピースをいくつか作製する
・出来上がったマウスピースは、歯並びの動きに合わせて装置を交換しながら使用する
また、マウスピースは薄くて透明感が強い素材でできているため、歯にはめていても付けていない時と見た目がほとんど変わりません。
2 矯正治療の「メリット・デメリット」
・ワイヤー矯正
・リンガル矯正
・マウスピース矯正
のそれぞれの「メリット・デメリット」について解説していきます。
2-1:ワイヤー矯正の「メリット」
ワイヤー矯正のメリットは次の2つです。
・適応症が広い
ワイヤー矯正は、歯並びが悪い状態の適応範囲が広いのが特徴です。
ワイヤー矯正は、歯を横に動かしたり、斜めに動かしたりといった移動が得意なので、「出っ歯」や」受け口」など多くの症例に対応が可能です。
ただ、開咬といって上下の前歯の隙間が大きい状態の場合には、ワイヤー矯正が適応できないケースもあります。
・取り外す手間がない
ワイヤー矯正は、歯の表面に装置を接着します。
矯正装置が歯にしっかりと固定された状態なので、食事や歯磨きのたびに自分で取り外す手間がありません。
2-2:ワイヤー矯正の「デメリット」
ワイヤー矯正のデメリットは次の4つです。
・費用が高額になりやすい
金属のワイヤー矯正の費用は、約60~80万円が一般的です。
金属のブラケットの部分をプラスチックやセラミックにしたり、金属ワイヤーをホワイトワイヤーに変更したりすると、費用が約90万~110万円と多少高くなります。
・虫歯や歯周病になりやすい
歯の表面に装置を固定するので、歯磨きが難しくなります。
細かい装置の周りにが、汚れが溜まりやすいので歯磨きができていないと、虫歯や歯周病を引き起こします。
虫歯や歯周病の症状が重度な時には、矯正治療を一度、ストップして治療に専念することもあるため、矯正装置を付けた状態での歯磨き指導をしっかりと受けることが大切です。
・食べ物が詰まりやすい
ワイヤー矯正では、食事の時も装置は付けたままです。
食べ物によっては、ワイヤー矯正とブラケットの間に詰まりやすいので、歯磨きをしない時間が長いと、口臭の原因にもなります。
・ホワイトニングが同時にできない
歯並びが綺麗になったら歯の色も気になる方が多いでしょう。
ワイヤー矯正の場合には、治療と同時にホワイトニングを行うことはできません。
矯正完了後にホワイトニングを行うようになります。
2-3:リンガル矯正の「メリット」
リンガル矯正のメリットは次の4つです。
・装置が見えにくい
リンガル矯正は、歯の裏側に金属ワイヤーを取り付けるので、装置がほとんど見えません。
ただ、大きく口を開けて笑うと、下の歯の装置が見えることもあります。
・虫歯になりにくい
歯の表側に付けるワイヤー矯正に比べて、リンガル矯正の方が虫歯になりにくいです。
なぜなら、歯の裏側には唾液腺があるからです。
上顎の裏側には、耳下腺から出る唾液が流れてきます。
さらに、下顎の裏側には「舌下腺」と「顎下腺」の2つの唾液が出る入り口があります。
唾液には、自浄作用や細菌の増殖を抑制する働きがあります。
歯の裏側は、唾液に触れる範囲が広いため、虫歯になりにくいのです。
・食事がしやすい
矯正治療中も外食を楽しみたいと思っている方もいるでしょう。
ワイヤー矯正は、歯に食べ物が詰まりやすいのがデメリットですが、リンガル矯正の場合には装置に食べ物が詰まっても、相手に見える心配がありません。
そのため、食べ物が詰まることを気にして好きな食事を避けたり、外食を控えたりする必要もなくなります。
・楽器の演奏ができる
歯の表側に矯正装置が付いている場合には、唇をしっかりと閉じたり、装置に楽器が当たったりして演奏ができないことがあります。
リンガル矯正では、唇に押しつけて演奏する吹奏楽器も問題なくできます。
2-4:リンガル矯正の「デメリット」
リンガル矯正のデメリットは次の4つです。
・費用がかかる
リンガル矯正は、術者の高度な技術が必要になります。
矯正装置は取り付ける位置が少しでもズレると、歯の移動がスムーズにいかなくなります。
歯の裏側は、狭くて暗いため、正確に装置を付ける難易度が高いため、リンガル矯正ができる歯科医院が限られているほどです。
また、使用する装置は、表側に使用する装置より精密に製作されています。
取り付けるブラケットが大きいと舌を傷つける原因にもなるので、リンガル矯正の装置は違和感が少ないようにオーダーメイドで製作します。
術者の高度な技術とオーダーメイドの装置が欠かせないため、リンガル矯正は他の矯正治療に比べて費用が約120万~150万円と高額になるのです。
・歯磨きに工夫が必要
リンガル矯正は、唾液の働きで虫歯になりにくいとはいえ、歯磨きを疎かにしていると虫歯や歯周病になります。
装置が付いていても、しっかりと汚れを落とせる磨き方を担当医や担当衛生士に教えてもらいましょう。
・発音がしにくい
装置が裏側に付いていると、舌の動きが制限されます。
特に装置の付け初めは、舌の動きが定まらず発音がしにくくなるため、舌っ足らずな話し方になることもあります。
ただ、2週間~1ヶ月も経つと装置にも慣れて、以前と同じように話すことが可能です。
・ホワイトニングが同時にできない
リンガル矯正は表側のワイヤー矯正と同様に、装置をつけた状態でホワイトニングをすることができません。
ホワイトニングを希望する場合には、矯正装置が外れてからになります。
2-5:マウスピース矯正の「メリット」
マウスピース矯正のメリットは次の4つです。
・食事の時は取り外せる
マウスピースは、食事の時には外します。
そのため、食べ物が装置に詰まることもなく、今までと変わらず食事を楽しむことが可能です。
・歯磨き
マウスピース矯正は取り外しができるので、以前と歯磨きが変わりません。
歯と歯の間を掃除するデンタルフロスも使用でき、虫歯や歯周病の予防になります。
・ホワイトニングが同時にできる
マウスピース矯正の場合には、矯正中でもホワイトニングをすることができます。
歯科医院で行う専用の機械を使うホワイトニングや自宅で行うホームホワイトニングを同時進行でできるため、通院回数や治療期間の短縮が可能です。
・金属アレルギーでも矯正できる
ワイヤーを使用する矯正方法では、金属アレルギーのある方は矯正ができないケースがあります。
しかし、マウスピースはプラスチックの素材を使用しているので、金属アレルギーの方でも矯正をすることが可能です。
2-6:マウスピース矯正の「デメリット」
マウスピース矯正のデメリットは次の2つです。
・適応症が限られる
一部のマウスピースのメーカーでは、顎骨の方に骨を押し込む「圧下」という動きがスムーズにできるため、「出っ歯」や「受け口」、「開咬」といった症例にも対応できます。
しかし、歯科医院によって使うメーカーが違うため、歯並びの悪さが軽度の状態でないとマウスピース矯正ができないと断られることもあります。
・装着時間を守る必要がある
マウスピース矯正は、1日20時間以上の装着時間が一般的です。
マウスピースの装着時間を守らない場合には、歯が移動しないので、治療期間が長くなる可能性があります。
また、自己判断で次のマウスピースに入れ替えるのは、歯や骨に負担がかかる原因になるため、必ず担当医の指示に従うようにしましょう。
3 費用を抑えたいなら「ハーフリンガル矯正」
「目立ちにくい矯正治療がしたいけど、費用もできるだけ抑えたい!」という方には、ハーフリンガル矯正という治療法もあります。
ハーフリンガル矯正とは、上の歯は裏側に、下の歯は表側にワイヤー装置を取り付ける治療法です。
噛んだ時には、上の歯が下の歯を覆うようになるので、下の歯の表面に装置を付けても、相手からは分かりづらくなります。
ただ、笑ったり話したりすると、下の歯に付けている装置が見えることもあり、他の矯正方法に比べると見た目では劣る治療法です。
とはいえ、ハーフリンガル矯正は、半分(上の歯)だけ裏側にワイヤー装置をつけることで、装置の材料費を安くできたり、術者の技術の難易度を下げたりできるので、治療費が約100万~120万円とリンガル矯正より、抑えることが可能です。
4 他人の目を気にせず理想の歯を手に入れよう
現在では、金属ワイヤー以外にも矯正方法がいくつかあり、他人から矯正しているのがわかりにくくなっています。
矯正する前の歯並びによっては適応できない治療法もあるため、担当医とよく相談して治療法を決めることが大切です。