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【気を付けて!】矯正治療でよくあるトラブルとその対処法

長年のコンプレックスの解消に期待を膨らせて挑む矯正治療も、残念なことにすべてのケースで治療が成功するとは限りません。多大な費用や時間がかかる矯正治療でトラブルを回避するためには、まずそのトラブルがなぜ、どのようにして起こるのかを事前に知っておくことが肝心です。ここでは矯正治療全般でよくあるトラブルの原因やその対処法、さらに近年人気を集める「非抜歯治療」「拡大床」「マウスピース矯正」における注意点などをご紹介します。

1. 矯正治療全般でよくある5つのトラブル

1-1.  自分がイメージしていた歯並びになっていない

矯正治療で起こるトラブルとしてまず挙げられるものに、「自分が思い描いていた歯並びとは違う」といった治療結果にまつわるトラブルがあります。他の歯科治療よりもはるかに時間や費用のかかる矯正治療では、治療を受ける側の期待値が高く、理想の歯並びとのギャップに不満を抱く人も少なくありません。

 

 

このようなトラブルが起こる原因の1つに、歯科医側と患者側とのコミュニケーション不足があげられます。矯正治療では事前に「患者が目指すゴール」と「歯科医が目指すゴール」が必ずしも一致するとは限りません。このような場合に互いが納得できる”妥協点“を見つけられるかが、治療を成功に導くポイントとなります。そのためには事前のカウンセリングや治療説明には十分に時間をかけ、両者が十分に意見を交換しあうことが大切です。これとは反対に、十分な話し合いのないまま治療をせかす歯科医院は要注意といえるでしょう。

1-2. 最初に提示された金額と異なる

歯科医院が価格を自由に設定できる矯正治療では、「治療前に聞いていた費用と違う」といったトラブルもよく起こります。このようなトラブルを回避するためには、事前に費用の総額をきちんと明示してもらうだけでなく、それを契約書などの文書に残してもらうことが肝心です。

 

その際に注意しておきたいのが、提示された金額に「調整料」が含まれているかどうかという点です。矯正治療では口内に器具を装着した後、一定期間ごとに通院して器具を調整する必要があり、その際に「調整料」を別途請求されることがあります。歯科医院によっては最初の金額に調整料がすでに含まれているところもありますが、調整料が含まれていない場合は通院ごとに費用が加算されることを理解しておきましょう。また治療中に器具をなくした、あるいは壊れた場合にかかる費用についても事前に確認しておくことが大切です。

1-3. なかなか治療が終わらない

矯正治療の期間は平均2~3年といわれますが、これには個人差も大きいほか、近年は「スピード矯正」を謳う歯科医院も多く、治療期間にまつわるトラブルも増えています。当初聞いていたよりもはるかに期間が延びている場合は、歯科医側の診査・診断ミス、あるいは治療計画の不備がその原因として考えらます。

 

ただし矯正治療では実際に治療してみないとわからない点も多く、予想よりも「歯が動くスピードが遅い」「歯が動かない」というケースも少なくありません。したがって治療を受ける側も当初の期間はあくまで“目安”であることを理解しておきましょう。また良心的な歯科医であれば、はじめの予定よりも期間が延びると想定される場合に、患者側にその理由を必ず説明してくれます。もし不安な点があれば、遠慮なく担当医に相談しましょう。

1-4. 「口元」「顔立ち」が変わってしまった

矯正治療で意外にも患者側の盲点となりやすいのが「歯並びが変われば、口元や顔の形も変わる」という点です。たとえば抜歯して歯並びを治した場合、歯並び全体が内側に入り込むことで治療前よりも頬がたるみ、ほうれい線が目立つようになることがあります。反対に抜歯をせずに治療したケースでは、無理に歯を並べた ことで歯並び全体が外側に広がってしまい、口元が以前よりも前に突き出てしまうことも起こりえます。

 

治療を受ける側は“歯並びをキレイにしたい”という点を重視しがちであり、このような口元や顔立ちの変化までは予想していないことはめずらしくありません。したがって歯科医側もその点について十分に説明しておくべきですが、それを怠ってしまった結果、トラブルに発展するケースが多くみられます。近年は治療後の歯並びや口元・顔貌の変化をシミュレーションできるソフトも誕生しているため、そのような設備が整った歯科医院を探すのも歯科医院選びのポイントでしょう。

 

1-5. うまく噛めない

口元や顔立ちに関するトラブルとあわせて注意しておきたいのが、「歯並びはよくなったけど、食べ物が噛めない」といった噛み合わせのトラブルです。このような事例も歯並びの“見た目”ばかりを重視した結果に起こりえます。とくに近年は矯正治療の人気が高まるにつれ、知識や経験に乏しい歯科医による矯正治療が増えており、それによる噛み合わせのトラブルも多くなっています。

 

矯正治療では“デコボコした歯並び”を一列にキレイに並び替えるのは比較的簡単であるのに対し、これらの歯を上下バランスよく噛み合わせるには熟練した技術が必要です。そのことを知らないまま安易に治療にのぞめば、「見た目はよいが、まったく機能しない歯並び」に仕上がりかねません。矯正治療を受ける際には、歯科医の矯正治療に関する実績や資格(認定医・専門医)などもしっかり確認しておきましょう。

2. 選択の際に注意したい矯正治療法

2-1.  歯を抜かない矯正治療(非抜歯治療)

矯正治療を受ける際に、おそらく多くの人は「できることなら自分の歯は抜きたくない」と考えています。近年はそれに応じるように歯を抜かずに歯並びを整える「非抜歯治療」が人気を集めていますが、その一方でこの治療によるトラブルも後を絶ちません。

 

確かに矯正治療の技術が大きく発展したおかげで、昔よりも歯を抜かずに治療できるケースも多くなっています。しかし矯正治療で抜歯が必要な理由をよく考えないまま、歯を抜かないことばかりにとらわれすぎると、矯正治療の本来のゴールを見失いやすいため注意しましょう。

 

そもそも矯正治療で「なぜ歯を抜くのか」といえば、個々の歯を正しい位置にバランスよく並べるためのスペースを確保するためです。スペースが十分でない状態ですべての歯を並べれば、そこには必ず無理が生じてトラブルを引き起こす原因となってしまいます。非抜歯治療にはそれに適した歯並びと、適さない歯並びがあることを十分に理解したうえで歯科医の判断を仰ぎましょう。

2-2. 「拡大床」を用いた矯正治療(床矯正)

“ 歯の抜かない矯正治療”とセットでよく用いられるのが、「拡大床」と呼ばれる取り外し式の矯正装置です。拡大床には“ネジ”や“ワイヤー”が取り付けられており、これらの力が歯並び全体を外側に押し広げることで、デコボコした歯を並べるスペースをつくっていきます。

 

一見すると理にかなった治療法に思えますが、忘れていけないのは口や顎のサイズは個々に適した大きさがあり、さらには顔全体のバランスも重要だという点です。先に挙げたトラブルのうち、「口元・顔立ち」「噛み合わせ」に関するトラブルも、この点を無視して安易に拡大床を用いた結果によって起こる一例といえます。

 

拡大床の使用にあたっては、「セファロ」と呼ばれる矯正治療専用のレントゲンをはじめとする精密な検査と、これに基づく正しい診査・診断が求められます。一方で近年は「取り外しができて簡単」「歯を抜かない」を謳い文句に、十分な検査をしないまま拡大床による治療をおこなう歯科医院も増えているので注意しましょう。

2-3. マウスピース矯正

マウスピース矯正は「装着しても目立たない」という点で近年人気を集める矯正治療の1つです。しかし日本臨床矯正歯科医会では消費者庁などに寄せられる矯正治療関連の相談のうち、“不適切なマウスピース矯正についての苦情が増えている”と警鐘を鳴らしています。

 

薄く透明なプラスチック製のマウスピースは取り外しが可能なうえ、固定式装置にあるような装着時のストレス(見た目・異物感)も少ないのが特長です。一方でマウスピース矯正には「治療できる歯並びが限られる」「効果がマウスピースの装着時間に左右されやすい」といったデメリットもあります。これらのデメリットを無視した治療では、「イメージ通りの歯並びにならない」「当初の予定よりも時間がかかる」といったトラブルが報告されています。

 

マウスピース矯正に限らず、矯正治療にはどの治療法においても必ずメリットとデメリットがあり、メリットばかりに目を奪われた選択はトラブルの元となります。また治療の良い面ばかりを述べた勧誘についても十分な注意が必要です。

3. まとめ

矯正治療で起こるトラブルの多くは、「知識や技術が未熟な歯科医による治療」または「患者側の矯正治療に対する認識不足」のいずれかが原因で生じています。矯正治療を受ける際はまず、セファロをはじめとする検査機器が設置されている矯正歯科専門医を受診することが肝心です。また矯正治療のゴールは歯並びの見た目だけでなくはなく、口元や顔の形、噛み合わせなどとの調和も大切であることを心に留めておきましょう。

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