これから矯正治療を始めようと考えている人が、まず最初に抱く懸念はずばり「治療費」です。
「矯正治療は高いという話をよく聞くけれど、実際にどれくらいの費用がかかるのかわからず不安…」という方や、費用がかなりかかることはすでに知っていて、「自分には払えないだろう」と諦めてしまっている方もいるかもしれません。
歯列を美しくすれば人前で堂々と笑うこともできますし、顔の骨格が整うだけでなく、噛み合わせ改善に伴って虫歯になりにくくなったり、頭痛や肩こりが改善されたりする副次的なメリットも期待できます。
そこで今回は、矯正治療でかかる費用を整理し、それぞれの治療方法のメリット・デメリットを解説していきたいと思います。
治療にふみこめずにいる方は、客観的に費用を理解することで、選択肢を広げることができるかもしれません。ぜひご一読ください!
目次
- (1)矯正治療は最低でも10万円!?施術によっては100万円以上することも
- (1-1)費用相場一覧
- (1-2)歯の矯正は保険が適用されない!
- (2)矯正治療費を少しでも安くしたいなら「医療費控除」を活用しよう
- (2-1)医療費控除とは?
- (2-2)歯列矯正が医療費控除の対象にならないこともある?
- (3)あなたにぴったりの矯正は?さまざまな治療方法について解説
- (3-1)世界中で支持されている「ワイヤー矯正」(70~130万円)
- (3-2)周囲に矯正していることを知られたくないなら「裏側矯正」(80~130万円)
- (3-3)痛くなくて目立たない!「マウスピース矯正」(10~150万円)
- (3-4)歯を抜かず、治療期間を短縮できる!「インプラント矯正」(1~5万円/1本)
- (4)まとめ
(1)矯正治療は最低でも10万円!?施術によっては100万円以上することも
まず結論からいいますと、矯正治療は基本的に健康保険が適用されない自由診療扱いとなるため、費用はけっして安くはありません。
しかし治療費を抑える方法も存在しますので、ぜひ下記の記事を参考にしてみてください。
(1-1)費用相場一覧
まずは矯正治療の各種費用についてみていきましょう。
具体的な矯正方法 | 費用相場 | 治療期間の目安 |
歯の表側に矯正器具を装着 (ワイヤー矯正) |
70~100万円 | 数ヶ月~3年
(矯正部位による) |
歯の表側に目立ちにくい器具を装着 | 80~130万円 | 数ヶ月~3年
(矯正部位による) |
歯の裏側に矯正器具を装着 | 100~150万円 | 数ヶ月~3年
(矯正部位による) |
矯正が簡単な場合のマウスピース矯正 | 10~70万円 | 数ヶ月~2年
(矯正部位による) |
矯正が複雑な場合のマウスピース矯正 | 100~150万円 | 数ヶ月~3年
(矯正部位による) |
インプラント矯正 | 1~5万円/1本
※オプション費用 |
半年~1年
(骨の状態による) |
(1-2)歯の矯正は保険が適用されない!
基本的に矯正治療は、一部の例外(後述します)を除き、健康保険を使うことができません。
現在の国の取り決めでは、歯並びの矯正はあくまで「審美治療」のカテゴリにみなされています。
つまり矯正治療は「自由診療」なのです。これが、矯正治療費用が高くなってしまう理由です。
ただし、下記の条件に該当する場合は、矯正治療に健康保険を適用することが可能です。詳細については担当の医師に聞いてみるとよいでしょう。
矯正治療で保険が適用されるケース |
①先天的に口の中に何らかの異常がある
②あごの骨に何らかの異常がある(大きさ・位置・形など) ③前歯に3歯以上の「永久歯萌出不全」がみられ、噛み合わせに異常が生じている |
(2)矯正治療費を少しでも安くしたいなら「医療費控除」を活用しよう
矯正治療に伴う費用を抑えるには、医療費控除を積極的に活用するようにしましょう。
(2-1)医療費控除とは?
医療費控除とは、自分や家族のために支払った医療費をもとに所得控除を受ける制度のことです。
医療費控除は年間10万円以上の医療費が発生した場合に適用されるため、最低でも10万円以上の費用がかかる矯正治療にはうってつけだといえるでしょう。
気になる医療費控除額は、みなさんの年間の所得額と医療費によって個人差がありますが、控除額の上限は最大200万円となっています。
医療費控除を受けるには、お近くの税務署に行って申請を行います。年間にかかった医療費の計算に必要となるため、必ず病院からの領収書を保管しておくようにしてくださいね。
(2-2)歯列矯正が医療費控除の対象にならないこともある?
気を付けなければならないのは、歯列矯正は「審美治療」という扱いを受けているため、場合によっては控除対象から外れてしまうケースもあるということです。
つまり、単純に「見た目の美しさ」「美容目的」という理由で矯正治療を行う場合は、医療費控除の対象外になってしまうわけです。
とはいえ、医師から「歯列矯正は必要な施術だった」「噛み合わせの機能回復に必要な治療だった」という認可を受ければ、医療費控除の対象となりますのでご安心ください。
(3)あなたにぴったりの矯正は?さまざまな治療方法について解説
費用について知ることはもちろん大切なことですが、もっとも重要なのは、自分に最適な治療方法を選ぶこと。
以下では、さまざまな矯正方法について詳しく解説していきます。みなさんのライフスタイルや治療で求めていること(費用・治療期間・痛さ)に照らし合わせて、最適な方法を検討してみてくださいね。
(3-1)世界中で支持されている「ワイヤー矯正」(70~130万円)
古くから世界中で行われている「ワイヤー矯正」。子どもから成人まで幅広く対応でき、複雑な歯列矯正も可能なのが最大のメリットです。
メリット | デメリット |
・取り外す煩わしさがない
・矯正できる範囲が広い ・矯正(歯の移動)が比較的速い ・微調整にも対応可能 |
・人前で目立ってしまう
・装置を付けると食べ物の制限がある ・装置が外れるとやや面倒 ・器具が口内に当たって痛い |
(3-2)周囲に矯正していることを知られたくないなら「裏側矯正」(80~130万円)
「接客業だから人前で目立ちたくない」「矯正していることを周囲に知られたくない」という方も多いのではないでしょうか。
そんな方には、歯の裏側にワイヤーを装着する「裏側矯正(リンガル矯正)」がおすすめです。
メリット | デメリット |
・目立ちにくい
・表側矯正よりも虫歯になりにくい(唾液で汚れを落とすことができるため)
|
・表側矯正に比べてやや費用が高め
・器具が舌に当たる ・発音がしにくい場合もある |
(3-3)痛くなくて目立たない!「マウスピース矯正」(10~150万円)
「もっと手軽な矯正方法はないの?」「器具を装着し続けることに抵抗がある……」という方には「マウスピース矯正(インビザライン)」がおすすめです。
透明のマウスピースを装着するため、ワイヤー矯正のように「器具が当たって痛い」ということがありません。
着脱も容易で手入れが簡単であるため、近年では女性の人気を集めています。
メリット | デメリット |
・痛くない
・目立たない ・食事の際は取り外せる ・着脱が容易で洗浄しやすい |
・歯列の状態によっては矯正ができないケースもある
・外し過ぎると矯正効果がでないことも |
(3-4)歯を抜かず、治療期間を短縮できる「インプラント矯正」(1~5万円/1本)
本格的な矯正を行う場合、治療が完了するまでに2~3年かかってしまいます。
また、歯の状態によっては矯正開始前に抜歯が必要になることもあります。
できることなら、短期間で抜歯せずに治療したいですよね。
それを可能にするのが「インプラント矯正」という治療法です。
インプラント矯正では歯茎に小さなインプラントを埋め込み、そこを支点にして歯を動かします。
動かしたい歯に対して、より効率的に力を加えて動かすことができるので治療期間が短くなります。
それだけでなく、通常の矯正治療では不可能な「奥歯の後方移動」が可能になります。
奥歯を後ろに移動させることで歯を並べるスペースに余裕ができるので、顎が狭い方でも抜歯をせずに矯正治療を受けられる可能性が高まります。
メリット | デメリット |
・治療期間を短縮できる
・歯を抜かずに治療できる |
・インプラントが外れる可能性がある
・オプション費用が加算される場合がある |
(4)まとめ
基本的に自費治療扱いとなっている矯正治療。
高額になりがちなイメージを持っている方も少なくありませんが、支払い方を工夫したり、医療費控除を活用することで結果的に費用を抑えることが可能です。
歯列矯正は、見た目や噛み合わせを改善へと導くことができます。歯列を美しくすることで、その人のライフスタイルをも変えることができるといっても過言ではありません。
歯列矯正を自分への“投資”だと考えれば、また違った考え方をすることができるかもしれません。今回の記事を参考に、ぜひ一度、矯正治療を検討してみてはいかがでしょうか。