何度も相手から「え?」と聞き返されるのは嫌なものです。
聞き返されるのが嫌で、あまり話さなくなったという方もいるでしょう。
でも本当は、滑舌の悪さを気にせずに、好きな話しを思いっきりしたいですよね。
また、「矯正治療中は滑舌が悪くなる」という噂を耳にして、矯正治療に踏み出せない方もいると思います。
そこで、この記事では滑舌を良くする矯正治療や矯正治療中の滑舌について、わかりやすく解説していきます。
・矯正治療中に滑舌が悪いと、仕事に支障がでる
・滑舌を良くしたいけど、矯正で良くなるのか不安
といった悩みがある方は、是非この記事を参考にして下さい。
目次
1 滑舌が悪い原因
そもそも滑舌が悪いのは、次の2つの原因が考えられます。
・歯並び
・舌の筋力の低下
それぞれについて詳しく解説していきます。
1-1:歯並び
歯並びの悪さは、滑舌の悪さにも繋がっています。
例えば「叢生」といってガタガタな歯並びや「出っ歯」は、正常な位置から歯が飛び出している部分があり、唇が上手く閉じることができないので、滑舌が悪くなってしまいます。
他にも「すきっ歯」や「開咬(上下の前歯が噛み合ってなく、大きな隙間ができている状態)」「受け口」は、言葉を発する時に歯の隙間から空気が漏れて、しっかりと発音することができません。
さらには、下の歯が内側に倒れ込んでいると、舌を圧迫して上手く動かせなくなって、聞き取りにくい話し方になってしまいます。
1-2:舌の筋力の低下
舌の筋力の低下は、滑舌を悪くする原因のひとつです。
近年では、噛む回数が少ない食事をする機会が多く、口周りの筋肉の発達がしにくいです。
そのため舌の筋肉が発達せずに、舌の位置が下がる低位舌になっている方が多いです。
低位舌とは、通常の位置ではなく、低い位置にある舌のことです。
口を閉じている時には、舌の先が上の前歯の根の辺りにある、スポットに付いているのが一般的です。
しかし、舌の筋肉が発達せずに低下していると、舌がスポットの位置より下側に位置していることがあります。
舌がスポットより低い位置の状態では、舌先が上顎に付いて発音する「サ行」や「タ行」、「ナ行」などが言いにくくなるので、ハッキリとした発音ができず、滑舌も悪くなってしまいます。
2 日常で滑舌の影響を受けにくい装置は?
できれば矯正治療中も、快適に生活したいのが本音です。
とはいえ、歯に装着する矯正装置によっては滑舌の影響が出る場合があります。
ここでは、それぞれの矯正装置の特徴や滑舌への影響について解説していきます。
2-1:表側ワイヤー矯正
表側ワイヤー矯正は、矯正治療の中でも一般的な治療方法です。
歯の表側にブラケットというワイヤーを通す装置を固定して、歯を引っ張って歯並びをキレイにする矯正方法です。
この方法では、歯の表側に装置を取り付けるので、舌を圧迫したり傷つけたりしないので、装置を取り付ける前と変わらない話し方ができます。
矯正装置の中では滑舌への影響が少ないのが、表側ワイヤー矯正の特徴でもあります。
ただ一方で、表側に装置を装着する分、付け始めは唇を閉じにくいと感じることがあります。
しかし、1週間~4週間もすると装置を付けているのにも慣れて、唇を上手く閉じることができ、ハッキリと言葉を発音すること可能です。
2-2:裏側ワイヤー矯正
裏側矯正とは、ブラケットやワイヤー装置を、歯の裏側に取り付ける治療方法のことです。
歯の裏側に装置を付けることで、装置が舌を圧迫したり、話す時に舌に当たったりするので、滑舌が悪くなる場合があります。
ただ、最近の裏側矯正装置はブラケット自体も小さくなっていたり、舌を圧迫させないような作りになっていたりと工夫している装置が多く、滑舌の悪さが始めから気にならない方もいます。
表側ワイヤー矯正と同様に装置を付け始めてから1週間~4週間ほどで、装置に慣れるケースがほとんどで、滑舌の悪さも徐々に改善していきます。
2-3:マウスピース矯正
マウスピース矯正とは、透明なマウスピースを上下の歯に被せて、歯並びを整えていく治療法のことです。
マウスピース矯正では、いくつかのマウスピースを段階ごとに付け替えながら、少しずつ歯を移動させていきます。
使用するマウスピースは歯の全体を覆うので、付け始めは舌がもつれたり、舌足らずのような話し方になったりする場合があります。
しかし、マウスピースは薄くて口への馴染みも早く、1週間~3週間ほどで付けているのに慣れて、違和感なく話せるケースがほとんどです。
矯正中の滑舌への影響が少なく、見た目も良いのがマウスピース矯正の特徴です。
3 矯正装置で滑舌が良くなる理由
矯正治療で滑舌が良くなるのは、次の3つの理由が関係しています。
・舌が正しい位置になる
・隙間が無くなる
・唇が閉じられるようになる
それぞれについて詳しく解説していきます。
3-1:舌が正しい位置になる
例えば、内側に倒れ込んでいた歯が矯正治療によって、歯並びが正常な位置になった時には、舌は歯の圧迫から解放されて、以前より動かせる範囲が広がります。
舌が自由に動かせるようになって、舌足らずにならないでハッキリとした言葉を発せるようになることが可能です。
また、今までは歯に圧迫されていて、舌が常に緊張した状態だったため筋肉が硬くなっています。
そうなると、舌を上手く動かせずに滑舌が悪くなりがちです。
一方、矯正治療で歯並びが正常の位置になると、舌も正常な位置になったり硬くなっていた筋肉も徐々にほぐれて、広範囲に動かせるようになったりするので、滑舌も良くなるのです。
3-2:隙間がなくなる
「すきっ歯」や「開咬」などの歯並びの場合には、矯正治療を行うことで今まであった隙間がなくなって、音が漏れなくなります。
特に空気を押し出すような動作が必要になる「サ行」や「ハ行」が、ハッキリとした言葉で発することができるようになります。
3-3:唇が閉じられるようになる
出っ歯や受け口、八重歯がある歯並びでは、唇をしっかりと閉じることができません。
前に出ていた歯が正常な位置に並ぶので、唇をしっかりと閉じることができるようになり「マ行」や「パ行」など、唇を合わせて発音する言葉がハッキリと言えるようになります。
4 「矯正治療」と「MFT」を組み合わせる
矯正治療後、すぐに滑舌が良くなる場合もあれば、滑舌が改善しない場合もあります。
特に、舌の筋肉の低下が起きているケースや低位舌のケースでは、矯正治療後も滑舌の悪さが残っていることがあります。
これは、矯正後も歯並びが悪かった頃の発音の仕方や、舌の動かし方などの癖が残っているため起きる現象です。
発音の仕方や舌の動かし方などの癖を治さないままだと、キレイに整えた歯並びが元の歯並びに戻る、「後戻り」という現象が起きる可能性があります。
そこで、矯正治療後にはMFTという口腔筋機能療法を行うことがあります。
歯科医院によっては、矯正治療と同時にMFTを行う場合もあります。
MFTとは、口の周りの筋肉バランスを整える治療法です。
口の状態に合わせて必要なトレーニングを行い、発音の仕方や舌の癖を改善して、正しい位置に誘導していきます。
必要なトレーニングは、口周りの筋肉の状態によって異なります。
例えば、ガムトレーニングという方法では、口の中で丸めたガムを上顎の中央の凹んだ部分に押しつけながら広げていきます。
この動作を数回繰り返えすことで、舌に正常な位置を記憶させたり、舌を上に動かして筋肉を鍛えたりする効果があります。
矯正治療後に滑舌が改善しない場合には、MFTの治療を受けて指示されたトレーニングを実践することで、発音や舌の癖が改善されて滑舌が良くなります。
5 滑舌を良くして自分らしさを思いっきり出そう!
滑舌の悪さは、矯正治療で改善されることがあります。
ただ、滑舌の悪さの原因が舌の癖や低位舌などの場合には、矯正治療後も滑舌が良くならないケースも少なくありません。
そこで、矯正後や矯正中にMFTという口周りの筋肉を鍛えるトレーニングを実践することで、滑舌が改善していきます。
また歯並びの状態によっては、適応できる装置が限られる場合もあるので、担当医と装置についてしっかりと話し合って決めましょう。
矯正治療で歯並びをキレイにして、滑舌を気にせずに話せるようになりましょう!