八重歯はマウスピース矯正で治療できる？

2021.07.30

「八重歯を矯正したい」という時、どのような矯正方法を選択するべきでしょうか。

予算やライフスタイルによって選択肢は様々ですが、「目立ちたくない」「食事制限はイヤ」という方にはやはりマウスピース矯正がおすすめです。

今回は、複雑な歯並びをしている八重歯をマウスピースで矯正可能かどうかについて取り上げていきます。これから歯列矯正を検討している方は、ぜひご一読ください。

（1）そもそも八重歯とは？どうして八重歯になる？

まるで動物の牙のように歯列から飛び出した歯のことを一般的に「八重歯」といいます。昔から日本ではチャームポイントとして認識されてきましたが、海外では好ましい見方はされていません。たいていは、早いうちから矯正するのがあちらでは常識とされています。

では、どうして八重歯になってしまうのでしょうか。理由の一つとして、「現代人の顎が小さい」ことが考えられます。

顎が小さいと聞くと、「小顔なのだからいいことなのでは」と考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、顎が小さいと、すべての歯が生え揃うためのスペースが確保できず、結果として正常な場所に収まりきらなかった歯が飛び出すことになってしまうのです。それが八重歯になるわけですね。

顎が小さくなってしまうのは、「小さい頃から柔らかいばかり食べているせいで鍛えられていない」「噛まずにすぐ飲み込んでしまう習慣が染みついている」「シンプルに遺伝でそうなっている」といったさまざまな見解があります。

「八重歯だけれど、日常でそんなに困ったことがない」「昔からチャームポイントにしている」「そもそも矯正するのが面倒だ」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

確かに必ず矯正をしなければならないというわけではありませんが、放置しておくことでデメリットを被ることもあります。

残念ながら、海外では八重歯を「チャームポイント」として捉える文化はありません。なので、特別なこだわりがない限りは八重歯を矯正することをおすすめします。

八重歯の部分は、歯ブラシが十分に届かず、虫歯や歯周病の原因になってしまう可能性があります。若いうちは問題がないように思えても、歳をとったあとに重大な歯周病を引き起こしてしまうかもしれません。

不自然な噛み合わせは、顎関節症を引き起こしたり、肩こりになったりするリスクが高まります。もしも「八重歯のところが口内炎になりやすい」という症状に自覚があるなら、不正咬合の黄色サイン。できるなら矯正治療を検討することをおすすめします。

矯正を行う場合、大きく分けて2つの方法があります。

ワイヤー矯正	歯にワイヤー型の矯正器具を装着します。「目立つ」という最大のデメリットはありますが、細かい調整がしやすく、できるだけ短期間で八重歯を矯正したいという方におすすめです。
マウスピース矯正	透明なマウスピースを装着して矯正する方法。接客業に従事している方や、矯正していることを周囲に知られたくないという方におすすめです。

一般的に、八重歯のみの矯正を行う場合は「部分矯正」というかたちになります。

ただし、八重歯の矯正は、全体の噛み合わせを考慮して慎重に行っていく必要があるため、八重歯の生え方の状態や噛み合わせのバランスによっては、「抜歯」を伴うケースもあります。

部分矯正で対応できる場合

・八重歯を矯正しても奥歯の噛み合わせに支障がない

・八重歯の生え方が比較的軽度

抜歯が必要な場合

・八重歯を矯正すると噛み合わせに問題が起きる

・八重歯の生え方が複雑

王道はワイヤーを歯に装着する矯正方法ですが、「見た目が気になる」という最大のデメリットがあります。接客業に従事している方でも安心して矯正治療を行えるのは、やはりマウスピース矯正です。

マウスピースは透明ですので、前歯に装着してもほとんど目立ちません。人目を気にせず人喋ったり笑ったりすることができますよ。マウスピース矯正には、主に次のメリットがあります。

・透明で目立ちにくい

・脱着が自由で洗浄しやすい

・抜歯をしなくても矯正できる可能性がある

・重度の八重歯にも対応できる

「接客業だからワイヤー矯正はイヤだ」「矯正器具を装着し続けるのは自分には耐えられなさそう」という方は、マウスピース矯正がぴったりです。

近年のマウスピース矯正技術は発達しており、ガタガタな八重歯でもキレイに整えることができます。治療期間は約2～3年ほど。もしもマウスピースでの矯正を望んでいるなら、まずはかかりつけの歯科医院に相談してみましょう。

マウスピース矯正の特徴
治療方法	透明なマウスピースを装着し、歯を動かしていくたびに新しいマウスピースを付け替えていく。
メリット	・目立ちにくい・自由に着脱可能なためTPOに合わせて取り外せる・簡単に洗浄できるため清潔を保てる・ほとんど痛くない・スポーツをしても安心
デメリット	・最低でも1日18時間は装着しなければならない・重度の八重歯には対応できない可能性もある
費用相場	10～100万円
治療期間	1～2年ほど