「矯正をするなら、骨がやわらかい子どものうちに」とお考えの方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。たしかに、成人してから行うよりも、子どものうちから正しい歯列に整えるほうが、より矯正の効果が高いといわれています。
ただ、そこで気になるのは費用の問題ではないでしょうか。
そこで本記事では、子どもの歯の矯正にかかる費用相場についてみていきます。矯正方法によって費用が異なりますので、家計の事情をかんがみながら、参考にしてみてください。
目次
(1)子どもの矯正にかかる費用相場まとめ
まずは早速、子どもの歯の矯正に必要な費用についてみていきましょう。もちろん、以下に示すのはあくまで目安です。歯科医院によって詳細の金額は異なりますが、「だいたいこれくらいは資金を準備する必要がある」という参考として役立ててくださいね。
費用の目安 | 内容 | |
矯正治療の前段階 | 約5~6万円 | カウンセリングや精密検査を行う |
1期治療 | 約10~50万円 | ・永久歯が生えそろう前に行う矯正
・1年~4年かかる ・マウスピースや床矯正装置を使う ・ケースによっては1期治療だけで矯正が終わることもある |
2期治療 | 約20~100万円 | ・永久歯が生えそろってから行う矯正
・基本的には成人と同じ矯正方法が適用される |
また子どもの矯正治療は、主に4つ。それぞれに費用や特徴が異なります。
矯正方法 | 費用相場 | 主な特徴 |
床矯正 | 40~45万円 | 1期治療の代表的な方法。痛みはほとんどなく、子どもにストレスを与えにくいです。 |
プレオルソ | 5~7万円 | 子どもの口呼吸が気になる方におすすめ。正しい舌の位置を覚えさせるための装置です。 |
マウスピース | 10~100万円 | 本格的な矯正装置です。永久歯の生え揃った時期に行うため、成人矯正の費用とほぼ変わりませんが、目立たないというメリットがあります。 |
ワイヤー矯正 | 60~150万円 | こちらも本格的な矯正治療です。歯にワイヤーを装着し、歯を動かす方向を細かく調整していきます。 |
ムーシールド | 5~15万円 | 受け口を改善するための3際から装着する矯正器具です。 |
(2)払い方は大きく分けて2つ!家計に合った方法を選ぼう
矯正治療の料金支払いは、「トータルフィー」と「処置払い」の2つに大別できます。
①トータルフィー
治療開始前に全額まとめて支払う方法です。あとになって追加で費用が発生しないため、最初の負担はやや大きいですが、家計管理が楽になるというメリットがあります。
②処置払い
治療を行うたびに料金が請求され、都度支払うという方式です。費用負担を分散させることができるため、「まとまった矯正費用をすぐには用意できない」という方におすすめです。ただし、治療のたびに費用が発生しますので、月々の家計管理をして治療費不足にならないようにする必要があります。
みなさんがこれから子どもの矯正治療を相談しようと思っている歯科医院が、上記のどちらの支払い方式を採用しているか、事前に確かめておきましょう。
(3)子どもの矯正を始めるなら早いほうが得なの?
結論からいいますと、子どもの矯正は早ければ早いほど費用の負担が軽くなる可能性があります。
ポイントは、永久歯の生えそろっていない「1期治療」(混合歯列期)です。この時期は、あごの骨の成長が著しいため、大げさな矯正装置をつけなくても、正しい方向に歯を導いてあげれば、理想の歯列を実現しやすくなります。
全体的にコストや手間が少なくて済むため、矯正費用はかなり安くなります。仮に1期治療で矯正が終わらず、2期に移行したとしても、2期から治療を開始するよりもずっと安い料金に抑えることが可能です。
一方で、ほぼ完全に永久歯が生えそろう13歳以降の「2期治療」(永久歯列期)は、一般の成人矯正と変わらない方法で本格的に治療を行っていくことになります。矯正方法の選択肢は広がりますが、1期治療に比べると費用は明らかに高くなってしまいます。
もし子どもがまだ永久歯が生えそろっていないのなら、将来的に負担となる費用を見越して、いまのうち(1期)から早めに矯正を検討しておくとよいでしょう。
(4)子どもの矯正治療の特徴やメリット
予算や都合によって、矯正の選択肢はさまざまです。費用相場や治療のメリットを比べながら検討してみてください。
(4-1)床(しょう)矯正
床矯正は、狭い歯列を拡大するための方法です。6~11歳の子どもに適しています。1期治療段階で床矯正を行うことで、抜歯をせずに歯列を綺麗にできる可能性が高まります。
【メリット】
・抜歯をせずに歯列矯正をしやすい
・痛みがほとんどない
・装置を取り外して洗浄可能
・他の矯正装置よりも安い
【デメリット】
・異物感がある
・発音がしにくいことがある
・すべての歯列に対応できるわけではない
【治療期間および費用相場】
・半年~2年ほど
・40~45万円
(4-2)プレオルソ
4~10歳の時期に最適な特殊マウスピース型矯正です。プレオルソで舌の正しい使い方や口周りの筋肉をトレーニングすることで、歯並びが悪くなるのを予防する効果があります。
たとえ現状に問題なくても、「口を開きっぱなしにするクセがある」「口元をきゅっと結ぶクセがある」という子どもは、将来的に歯並びが悪くなってしまう可能性がありますので、そんなときはぜひプレオルソを使ってみてください。
(4-3)マウスピース
2期治療すなわち永久歯が生え揃った状態に開始する本格的な矯正治療です。透明で目立たないマウスピースを装着し、理想の歯並びを実現していきます。人目を気にする思春期の子どもでも安心して治療を続けることが可能です。
【メリット】
・目立たない
・取り外しが自由
・ほとんど痛くない
【デメリット】
・1日18時間は装着し続けなければならない
【治療期間および費用相場】
・1~3年ほど
10~100万円
(4-4)ワイヤー矯正
マウスピースと同じく、永久歯は生え揃った状態で始める本格的な矯正治療です。歯の表側あるいは裏側にワイヤー型の矯正器具を装着し、歯列を整えていきます。「目立つ」「手入れが大変」というデメリットがありますが、世界中の矯正歯科で採用されている最もポピュラーな方法です。
【メリット】
・細かい調整がしやすい
・いちいち取り外さなくていい
【デメリット】
・目立つ(表側矯正の場合)
・異物感がある
・人によっては痛む
・食べかすが詰まりやすい
【治療期間および費用相場】
・1~3年ほど
60~150万円
(4-5)ムーシールド
3歳から始める子どもの受け口改善装置です。「このままではいずれ矯正をすることになりそう」という場合は、ムーシールドで対策をすることをおすすめします。
【メリット】
・抜歯をする必要がない
・費用負担が軽い
・日常生活では装着しなくていい
・マウスピースなのでケガの心配がない
【デメリット】
・必ずしもうまくいくわけではない
(5)まとめ
今回は、子どもの歯の矯正にかかる費用の目安についてご紹介しました。
永久歯が生えそろっていない時期からの矯正(1期:混合歯列期) | 約10~50万円 |
永久歯が生えそろった時期からの矯正(2期:永久歯列期) | 約20~100万円 |
支払い方 | ・トータルフィー⇒事前に全額払い
・処置払い⇒治療のたびに料金払い |
結論 | できることなら混合歯列期から始めたほうがトータルで費用が安くなる |
子どもの健やかな未来のために、ぜひ早めのうちから矯正治療を検討することをおすすめします。家計の都合などで費用が気になっている方は、まずは歯科医院に相談して、トータルでかかる費用の見積もりや支払い方法について話を聞いてみるとよいでしょう。